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犬の腎臓病の基礎知識

腎臓病の検査値の見方|BUN・クレアチニン・リンをやさしく解説

愛犬が腎臓病と診断されると、どうしても気になるのが「検査結果の数値」です。
動物病院で血液検査を受けるたびに紙を渡されますが、
BUN、Cre(クレアチニン)、リン(P)など…数字の意味がよく分からないまま心配になる
という飼い主さんはとても多いです。

この記事では、腎臓病の診断や経過観察でとても重要な

  • BUN(尿素窒素)

  • クレアチニン(Cre)

  • リン(P)

の3つを中心に、
専門用語を使わず“日常の感覚”で理解できるようにやさしく解説していきます。

病院では聞きづらい細かい部分もしっかり説明しますので、
検査結果を見るたびに落ち込んでしまうあなたの不安が、少しでも軽くなりますように。

腎臓病の検査値は何を見るためのもの?

血液検査でわかる「腎臓の状態」は、

  • 老廃物がどれくらい体に残っているか

  • 腎臓がどれくらい働けているか

  • 体のバランス(ミネラル・水分)が崩れていないか

といった、体の内部の状況を読み取るための指標です。

特に腎臓病では、症状だけでは進行具合が把握しにくいため、
数字の変化がとても大きなヒントになります。


BUN(尿素窒素)とは?|体の“汚れ”がどれだけ残っているか

BUNの役割を簡単に言うと…?

BUNは、体が不要とした“老廃物”の一種です。
腎臓は本来、この老廃物を尿として排出します。

しかし腎臓が弱ってくると、
うまく外に出せず、血液中に残ってしまいます。

その「残ってしまった量」を表すのが BUN です。


BUNが高くなるとどうなる?

BUNが高いときは、老廃物が体に溜まっているため、

  • 吐き気

  • 食欲不振

  • 元気がない

  • だるさ

といった症状が出やすくなります。

BUNが高いと嘔吐が出るといわれるのは、このためです。


BUNは“食事の影響”を受けやすい数値

ここがとても重要で、意外と見落とされがちです。

BUNは、

  • 直前の食事内容

  • 蛋白質量

  • 脱水の有無

によって、大きく変動しやすい数値です。

そのため、
BUNだけで腎臓病の悪化を判断するのはNG。

▼ 例
前の日に高タンパクなおやつを食べた → BUNが上がる
脱水している → BUNが上がる
点滴直後 → BUNが下がる
など、変動しやすいのです。


クレアチニン(Cre)とは?|腎臓の“フィルター機能”を見る数値

クレアチニンは何を表している?

クレアチニンは、筋肉の代謝で出る老廃物のひとつですが、
腎臓だけで排出されるという特徴があります。

そのため、

腎臓がどれくらい働けているかを示す“腎機能の指標”

としてとても役立ちます。


クレアチニンの特徴:ブレにくい、信頼性が高い

BUNとは違い、クレアチニンは

  • 食事の影響をほぼ受けない

  • 水を飲んだ量でも変動が小さい

という特徴があります。

つまり、
「腎臓の本当の状態」を反映しやすい数値なのです。


クレアチニンが高い=腎臓のフィルターが詰まり気味

腎臓は“フィルター”のような働きをしますが、
クレアチニンが高くなると、

フィルターの目詰まりが進んでいる=腎機能が落ちてきている

ことを示します。

ステージ(IRIS分類)の判定にも使われる、非常に重要な数値です。


リン(P)とは?|腎臓病で最も注意したい“ミネラルの管理”

リンって何?

リンはミネラルの一種で、
本来は骨や歯を作るために必要な成分です。

しかし、腎臓病になると リンが排出されにくくなり、血液中に溜まりやすくなります。


リンが高いと何が起こる?

実は、リンが高い状態(高リン血症)こそ、腎臓病を進行させる大きな原因のひとつです。

  • 食欲不振

  • 吐き気

  • 元気の低下

  • 骨のトラブル

  • 腎臓の負担アップ

このように、様々な悪影響が起こります。

腎臓病でリン管理が重要視されるのは、
腎臓の寿命に直結するから なのです。


リンの数値は食事の影響を大きく受ける

リンは フードの中に含まれる量 に強く影響されます。

例:

  • おやつを多く食べた → 上がりやすい

  • サプリやリン吸着剤で下げられる

  • 腎臓サポートフードにすると改善しやすい

など、日常管理が直結する数値です。


BUN・クレアチニン・リンはどう見ればいい?“一つの数字だけで判断しない”ことが重要

▼ よくあるケース
「前よりBUNが上がった!悪化したの?」
と心配される飼い主さんが多いですが、結論としては…


数字は“セット”で見るのが基本

  • BUN

  • クレアチニン

  • リン

  • SDMA(病院によって)

  • 体重

  • 水分量

  • 食欲・元気

これらを総合的に判断して、初めて「状態の変化」が見えてきます。


急に悪化したように見えても、食事や脱水が原因のことも多い

  • 前日にたんぱく質の多い食事 → BUN上昇

  • 水をあまり飲まなかった → BUN上昇

  • 点滴後 → BUNが急に下がる

など、「腎臓病の本質」とは無関係の理由で変動するケースも非常に多いです。


数字が上がっていても“症状がない”時は要観察でOKなことも

腎臓病では数字と症状が一致しないことも多く、
獣医師は「症状の有無」をとても重視します。

例えば

  • 食欲があり

  • 水も飲めて

  • 吐き気もなく

  • 体重が安定

していれば、レベルの高い数値でも“落ち着いている”と判断されることがあります。


検査値が悪い時に家庭でできる観察ポイント

病院へ行く際に次の情報があると、診察がスムーズです。

  • 食べた量

  • 水を飲んだ量

  • おしっこの量

  • 嘔吐の有無(時間・回数)

  • 体重の変化

  • 元気の状態

  • おやつを食べたか

  • 点滴したかどうか

腎臓病は“日々の状態”がとても重要なので、
検査値だけでなく、生活の変化を伝えることが診断の精度を上げる手助けになります。


数字だけに怯えず、全体像を見ることが大切

腎臓病の検査値は、最初のうちは難しく感じますが、
ひとつひとつの意味が分かってくると、不安も軽くなります。

● BUN → 老廃物の量。変動しやすい
● クレアチニン → 腎機能の指標。比較的安定
● リン → 腎臓病を進める重要因子。日常管理がとても大切

そして最も大切なのは、

数字を単体で見ず、症状や生活の変化と合わせて判断すること。

愛犬の毎日の様子をいちばん理解できるのは飼い主さんです。
不安なときは一人で抱えず、獣医さんに相談しながら、
愛犬が少しでも穏やかに過ごせるようサポートしていきましょう。