当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病の悪化を止めるには?進行を遅らせるための食事・治療・生活ケアガイド

腎臓病の悪化は「止める」ことは難しくても「遅らせる」ことはできる

犬の腎臓病は一度進行が始まると、完全に元へ戻すことはできない病気です。
腎臓は再生しない臓器のため、「治す」「止める」というよりも、進行をどれだけ遅らせるかが寿命を左右します。

しかし希望はあります。
適切な食事管理・水分補給・治療・生活ケアを徹底することで、寿命を1年〜3年以上延ばすケースも珍しくありません。
実際に、ステージ2〜3から長期間維持できている犬も多くいます。

結論:飼い主の意識と対策次第で、腎臓病の進行を大きく遅らせることは可能です。


なぜ腎臓病は進行してしまうのか?

腎臓病が悪化する背景には、いくつかの理由があります。

✅ 腎臓は再生しない臓器

肝臓と違い、損傷した腎臓の機能は回復しません。
そのため「進行を止める」のではなく「残された腎機能を守る」という考えが重要です。

✅ 老廃物の排出ができない

血液の中に毒素(尿素窒素・クレアチニンなど)がたまり、尿毒症や嘔吐・脱水・食欲不振を引き起こします。

✅ 水分不足・脱水が進行を加速

腎臓は水分と密接に関係しているため、飲水量の低下や点滴不足は進行を早めます。

✅ 高リン・高タンパクの食事

市販フードやおやつには腎臓に負担の大きい成分が多く、療法食を食べない犬ほど進行リスクが高くなります。

✅ 高血圧・合併症の影響

腎臓病と同時に高血圧・心疾患・貧血・膀胱炎などがある場合、悪化のスピードが速くなります。


腎臓病の悪化を防ぐための5つの柱

腎臓病の進行を遅らせるポイントは、以下の5つに集約されます👇

✅ ① 食事管理(最重要)

腎臓病における食事の役割は非常に大きく、療法食は治療と同等レベルの効果を持ちます。

療法食の特徴:

  • 低たんぱく

  • 低リン

  • 低ナトリウム

  • 高品質脂肪酸

  • 消化しやすい成分

逆に、市販フードや手作り食を自己判断で与え続けると、数値が一気に悪化する危険性があります。

食べない場合の工夫例:

  • お湯でふやかす

  • 温めて香りを出す

  • 少量のウェットを混ぜる

  • 他メーカーに切り替える


✅ ② 水分補給(脱水防止)

腎臓病の犬が生きるうえで最も重要なのは「水分量」です。

水分摂取を増やす方法:

  • ウェットフードの併用

  • ぬるま湯や犬用スープ

  • 自動給水器

  • アイスキューブやゼリー状フード

進行期では皮下輸液(点滴)が効果的:

  • 自宅輸液指導を受ける飼い主も多い

  • 早期から始めることで進行を遅らせられる


✅ ③ 定期検査と数値管理

「検査結果を見るだけでなく、対策に繋げること」が悪化防止の鍵です。

チェックすべき項目:

  • クレアチニン(Cre)

  • BUN(尿素窒素)

  • SDMA

  • 尿比重

  • 蛋白尿

  • 貧血

検査頻度の目安:

  • ステージ1〜2:半年に1回

  • ステージ3以降:1〜3ヶ月に1回

  • 高齢犬・症状あり:随時


✅ ④ 薬・サプリメントの併用

腎臓病の進行度に応じて、以下の治療が選択されます👇

● 薬

  • ACE阻害薬(血圧管理)

  • 利尿剤

  • 胃薬・吐き気止め

  • 貧血治療薬

● サプリメント

  • オメガ3脂肪酸(炎症抑制)

  • リン吸着剤

  • ビタミンB群

  • プロバイオティクス

※自己判断でのサプリ選びはNG。獣医の判断が必須。

✅ ⑤ 生活習慣・ストレスケア

腎臓病の犬にとって、環境と心身の安定はとても重要です。
ストレスや疲労は体力を奪い、免疫力や腎機能の低下を早めます。

生活面で気をつけるポイント:

  • 静かな環境で過ごさせる

  • 室温・湿度を一定に保つ(夏25℃前後、冬20℃程度)

  • 激しい運動は避ける(散歩は短め・回数多めに)

  • 留守番時間を減らす

  • 寝床を清潔&柔らかく保つ

NGになりがちな行動:

  • 人間の食べ物を与える

  • 長距離散歩や階段移動

  • 体調を見ずにトリミング・旅行

  • ふやかしてない硬いフードのまま与える


自宅でできる腎臓ケアの具体例

腎臓病の悪化防止には、飼い主の観察と日常ケアが欠かせません。

✅ 水分チェック

  • 1日にどれだけ飲めているか

  • 尿量・色・回数の記録

  • 嘔吐や下痢がある場合は特に注意

✅ 食事の調整

  • 少量ずつ複数回に分ける

  • 食欲が落ちたら温めたり香りづけを試す

  • ウェットやペースト食への切り替えも有効

✅ 体調記録

  • 体重の減少

  • 毛ヅヤの変化

  • 呼吸、震え、表情

  • 下痢・嘔吐の回数

✅ 嘔吐・食欲不振の早期対応

  • 食べない状態が半日以上続く

  • 嘔吐が2回以上起きる
    → この場合は病院への相談を推奨


悪化のサインを見逃さない

以下の症状は腎臓の進行悪化のサインです👇

● よくある初期悪化サイン

  • 以前より水を飲むようになった

  • 尿の量や濃さの変化

  • 好きなフードを残し始めた

  • 毛並みがパサついてきた

● 注意レベルのサイン

  • 嘔吐・下痢

  • 口臭(アンモニア臭)

  • 元気がない・寝てばかり

  • 体重減少

  • 階段を嫌がる・動きが鈍い

● 即受診レベル

  • ぐったりして動かない

  • 水も飲まない

  • 何度も吐く

  • 貧血・ふらつき

  • 呼吸が荒い

「様子を見る」で1日遅れるだけでも、腎臓病は急激に悪化することがあります。


飼い主ができる改善サポートとは?

腎臓病は“進行性”ですが、早期の対応で寿命・生活の質は大きく変わります。

✅ 今すぐ実践できる具体策

  • 療法食に切り替える(食べないときの工夫も含めて)

  • 水分摂取の量と質を見直す

  • 定期検査の頻度を上げる

  • 嘔吐・食欲不振時の判断基準を持つ

  • サプリや薬の使用を獣医と相談

  • ストレス・運動・室温の調整

✅ やめたほうがいいこと

  • 一般食・人間の食べ物を与える

  • 普段通りのドッグフードを継続

  • 嘔吐や食欲不振を放置

  • 定期検査を怠る

  • 「元気そうだから大丈夫」と思い込む


悪化を止めるカギは「飼い主の管理と早めの対策」

犬の腎臓病は進行を完全に止めることはできませんが、“どれだけ遅らせるか”は飼い主の行動次第で大きく変わります。

特に重要なのはこの3つ👇

✅ 療法食・水分管理・点滴などのケアを徹底する
✅ 嘔吐・食欲不振・尿の変化などのサインを見逃さない
✅ 迷ったら「様子見」ではなく「相談・受診」へ動く

「もっと早く知っておけばよかった」と後悔しないためにも、今からできることを始めることが愛犬の寿命を延ばす最大のカギです。