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寝てばかりいるのは“体がしんどいサイン”かもしれません
犬が長時間寝るのは自然な行動ですが、腎臓病の犬が以前より明らかに寝てばかりいる場合は注意が必要です。
単なる老化や疲れではなく、
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体の中に老廃物(尿毒素)がたまっている
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貧血や脱水が進んでいる
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食欲不振や栄養不足で体力が低下している
といった体調の悪化サインである可能性が高いです。
「ただの眠気」と軽く見ると、腎臓病の進行に気づくのが遅れてしまいます。
早めの対応で、寿命や生活の質(QOL)を大きく変えることができます。
なぜ腎臓病の犬は寝てばかりになるのか?主な原因5つ
腎臓病では、体の中でさまざまな変化が起きます。
その結果、犬は「動きたくても動けない」状態になっているのです。
① 老廃物(尿毒素)が体に溜まり、だるさが強くなる
腎臓の働きが低下すると、体内の毒素をうまく排出できなくなります。
この「尿毒素」が血液中に溜まることで、
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全身の倦怠感
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頭痛・吐き気(人間で言うと二日酔いのような状態)
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体を動かす気力の低下
が起こり、1日のほとんどを寝て過ごすようになります。
特に、食欲不振や口臭(アンモニア臭)が同時に見られる場合は要注意です。
② 貧血によるエネルギー不足
腎臓病が進行すると、赤血球を作るホルモン「エリスロポエチン」の分泌が減少します。
その結果、血液中の酸素が足りなくなり、次のような症状が現れます👇
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呼吸が浅い・早い
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階段を嫌がる
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歯茎が白っぽい
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寝てばかりいて動かない
酸素不足=エネルギー不足のため、体力が維持できず横になる時間が増えます。
③ 食欲不振・栄養不足による体力低下
腎臓病の犬は、食欲が低下しやすくなります。
これは、体内に溜まった毒素が胃腸を刺激するためです。
結果として👇
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カロリー・たんぱく質不足
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筋肉量の減少
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疲れやすく立ち上がれない
という状態に陥ります。
「寝てばかり+痩せてきた」なら、進行サインの可能性が高いです。
④ 脱水や血圧低下
腎臓がうまく水分を保持できないと、体内の水分がどんどん失われていきます。
それにより、次のような症状が起きます👇
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皮膚をつまんでもすぐ戻らない
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目がくぼむ
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鼻や口が乾いている
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立つとふらつく
脱水状態では血液の流れも悪くなり、脳への酸素供給が低下。
これにより「ぼーっとする」「すぐ寝てしまう」状態になります。
⑤ 痛み・不快感を感じて体力温存している
犬は本能的に、体調が悪いと**「動かないでエネルギーを温存する」**行動を取ります。
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背中を丸めて寝る
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静かな場所に隠れる
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飼い主の呼びかけにも反応しない
このような様子が見られるときは、体の痛みや強い不快感を感じていることがあります。
寝ているだけ?それとも危険?状態別チェックリスト
犬が寝ている様子を観察することで、「休息なのか」「体調悪化なのか」を見分けられます。
危険度【低】(様子見OK)
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呼びかけに反応する
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食事や水をしっかり取る
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散歩には行きたがる
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体勢を自分で変える
→ 単なる老化・疲労の可能性。
ただし、「以前より寝る時間が増えた」なら要観察です。
危険度【中】(早めの受診推奨)
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ごはんを残す・嗜好の変化がある
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水ばかり飲む
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寝起きにふらつく
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いつもより反応が鈍い
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呼吸が浅い
→ 腎機能の低下や脱水の可能性あり。
数日続くようなら受診をおすすめします。
危険度【高】(緊急対応レベル)
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呼びかけても反応がない
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一日中ほぼ動かない
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体温が下がっている
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食べない・水も飲まない
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呼吸が荒い・不規則
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尿が出ない or 漏らす
→ 腎不全の末期症状の可能性があります。
この段階では、すぐに動物病院へ連絡を。
寝てばかりいる犬にしてあげられるケア方法
「ただ見守るだけ」ではなく、環境づくりとケアの工夫で犬の体調をサポートすることができます。
以下のポイントを意識してあげましょう👇
① 体を冷やさない・温度管理を整える
腎臓病の犬は体温調節が苦手になりやすく、冷えによって血流が悪くなると症状が悪化します。
対策ポイント:
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寒い時期はブランケットや湯たんぽで保温
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クーラーの冷気が直接当たらないようにする
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ベッドを床から少し浮かせて底冷え防止
👉 **「触ると耳や足先が冷たい」**ときは冷えすぎのサインです。
② 水分補給の質を見直す
腎臓病では「水を飲む=良いこと」とは限りません。
ただの水よりも、体に吸収されやすい水分補給を意識しましょう。
おすすめの方法:
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ウェットフード・スープで水分と栄養を同時に摂取
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無塩の鶏だし・野菜スープをぬるめで与える
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水の置き場を複数にして、すぐ飲めるようにする
👉 飲みすぎ・飲まなすぎはどちらも腎臓に負担となるため、量を観察することも大切です。
③ 食べられる工夫をする(少量でもOK)
「食べない→体力低下→寝てばかり」という悪循環を断ち切るため、少しでも食べられる工夫をしてあげましょう。
具体例:
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フードを温めて香りを強める
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好きな味(ささみ・かぼちゃなど)をトッピング
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ウェットタイプや流動食を活用
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スプーン・手から与えてみる
👉 無理に量を増やすよりも、「食べる楽しみを取り戻すこと」が最優先です。
④ 寝る姿勢・環境を整える
寝てばかりいる犬は、床ずれ(褥瘡)や関節のこわばりを起こしやすくなります。
ケアポイント:
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やわらかいベッドやマットを使用
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2〜3時間おきに体の向きを変えてあげる
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定期的に体を撫でて血行促進
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日光浴でビタミンD生成も◎
👉 「触ると痛がる」「寝返りを打たない」ときは、痛みが強い可能性も。
⑤ 定期的な通院・検査を続ける
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血液検査(クレアチニン・BUN・SDMA)
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尿検査(たんぱく・比重・潜血)
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体重チェック
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血圧・貧血の確認
これらを月1回〜2回行うことで、進行度を把握できます。
「少し元気がない」程度でも、早期に治療を再調整できる場合があります。
寝てばかりが続くときに受診すべきサイン
腎臓病の進行や脱水のほか、**他の臓器の不調(心臓・肝臓など)**が関係していることもあります。
次のような場合はすぐに病院へ👇
🚨受診が必要なサイン
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1日以上ほぼ動かない
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呼びかけに反応がない
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息が荒い・浅い
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食事も水も拒否する
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体温が低下している
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尿・便が出ていない
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嘔吐・震え・けいれんがある
👉 これらは腎不全末期や尿毒症の進行サインの可能性もあります。
できるだけ早く獣医師に相談し、点滴や食欲増進剤などの処置を受けましょう。
「寝てばかり」は愛犬からのSOS
犬が腎臓病で寝てばかりいるときは、単なる老化や疲れではなく、
体がしんどい・つらいと訴えているサインのことが多いです。
✅まとめポイント
✔ 寝てばかりの原因
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尿毒素によるだるさ
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貧血や栄養不足
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脱水や血圧低下
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痛みや不快感
✔ 放置すると
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体力低下・衰弱
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食欲不振・嘔吐
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腎不全末期へ進行
✔ 飼い主ができること
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温度・寝床・水分の管理
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食べやすい食事の工夫
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定期的な検査と通院
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「寝てばかり」に気づいたら早めに相談
💬 「よく寝ているな」ではなく、「前より動かないな」と感じたら受診を。
早期発見とケア次第で、腎臓病の犬は穏やかな日々を取り戻せます。


