当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
腎臓病のよくある質問

犬の腎臓病は治らないのはなぜ?完治が難しい理由とできること

「腎臓病は治らない」と言われたときの不安

獣医師から「腎臓病は治りません」と言われたとき、
多くの飼い主さんは強いショックを受けると思います。

「もう何もできないの?」
「痛い思いをさせたくない」

そんな不安を感じるのは当然のことです。
しかし、「治らない=希望がない」ではありません。

この記事では、

  • なぜ腎臓病は完治が難しいのか

  • どのように進行していくのか

  • できる限り進行を遅らせる方法
    を、分かりやすく解説していきます。


なぜ犬の腎臓病は治らないのか?

💡Point

腎臓の細胞は一度壊れると再生しないため、完全な回復が不可能だからです。


1. 腎臓は“沈黙の臓器”である

腎臓は、体の老廃物をろ過し、血液をきれいに保つ重要な臓器です。
しかし、腎臓の機能が約75%以上失われるまで症状が現れにくいという特徴があります。
つまり、気づいた時にはすでにダメージが進行しているケースが多いのです。


2. 壊れた腎臓の組織は再生しない

腎臓には「ネフロン」と呼ばれるろ過ユニットが約100万個存在します。
このネフロンが一度壊れると再生することはなく、他の健康なネフロンが代わりに働くしかありません。
そのため、病気が進むにつれて代償機能も限界を迎え、慢性化していくのです。


3. 慢性腎臓病は少しずつ進行する

急性腎障害(中毒や感染など一時的なもの)は回復することもありますが、
慢性腎臓病(CKD)は長期的に進行し、少しずつ腎臓の働きが低下していきます。

つまり、「治す病気」ではなく、「進行を止めて共に生きる病気」なのです。


腎臓病が進行するメカニズム

💡Point

腎臓病は、「ダメージ → 炎症 → 機能低下 → 毒素蓄積」という悪循環で進行します。


1. ネフロンの破壊が始まる

加齢や感染、食事、遺伝などの要因によりネフロンが壊れ、ろ過能力が低下。

2. 体内に老廃物が溜まる

腎臓がうまく働かないことで、尿素窒素(BUN)やクレアチニンが血液中に増加。
いわゆる「尿毒症」の状態が進みます。

3. 毒素がさらに腎臓を傷つける

血液中の老廃物が腎臓組織を刺激し、慢性的な炎症が起こる
この炎症がさらにネフロンを壊し、悪循環が発生します。


腎臓病の進行を遅らせることはできる

💡Point

治すことはできなくても、正しいケアで進行を遅らせ、長生きを目指すことは可能です。


1. 食事療法(療法食・リン制限)

  • リン・ナトリウム・たんぱく質を制限した腎臓サポートフードを選ぶ

  • 水分をしっかり摂れるように、ウェットタイプやスープ食に変更する

食事は腎臓の負担を軽くし、病気の進行を遅らせる最重要ポイントです。


2. 定期的な血液検査で状態を把握

BUN・クレアチニン・リン・カルシウムの値を定期的に確認し、
早期の変化に対応することが長生きの鍵です。
目安として、2〜3ヶ月ごとの検査をおすすめします。


3. 水分補給と点滴治療

腎臓病の犬は脱水になりやすいため、

  • 飲水器を複数設置

  • 水分多めの食事

  • 必要に応じて皮下輸液(点滴)を行う

これにより、体内の毒素排出を助けます。


4. ストレスを減らす

ストレスは血流を悪化させ、腎臓への酸素供給を減らします。
穏やかな生活リズムと安心できる環境を整えることが、意外と大きな支えになります。


「治らない」と言われたあとに大切な考え方

💡Point

治すのではなく、「一緒に穏やかに生きる」ことが目的です。


1. 小さな変化を喜ぶ

  • 食べた

  • 水を飲んだ

  • いつもよりよく眠れた

そんな小さな「できた」が、病気と向き合う上での大きな希望になります。


2. 飼い主の気持ちを整える

「何をしても治らない」と感じると、無力感に包まれがちですが、
犬はあなたの気持ちを敏感に感じ取ります。
前向きな声かけやスキンシップが、愛犬に安心を与えます。


治らない病気でも、“一緒に生きる”選択ができる

腎臓病は確かに完治しない病気です。
けれど、「治らない=何もできない」ではありません。

  • 食事管理で腎臓への負担を減らす

  • 水分補給で体の循環を守る

  • 穏やかな環境でストレスを減らす

🐾 一日でも長く、穏やかで幸せな時間を過ごすこと。
それこそが、腎臓病の“治療”の本当の意味です。