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「夜鳴き」は体調のSOSかもしれない
腎臓病の犬が夜に鳴くようになった――
そんな変化に気づいた飼い主さんは多いのではないでしょうか。
「夜中にずっと鳴いて寝られない」
「老犬だから仕方ないのかな?」
実は、腎臓病による夜鳴きには体の不調や不安感、環境ストレスなど、さまざまな要因が関係しています。
放っておくと症状が悪化する場合もあるため、原因を正しく理解してケアすることが大切です。
なぜ腎臓病の犬は夜鳴きするのか?
💡Point
腎臓病による夜鳴きは、体調の変化・痛み・不安・認知機能の低下などが主な原因です。
1. 尿毒症による体の不快感や痛み
腎臓が老廃物を排出できなくなると、体内に毒素(尿素窒素など)が溜まる「尿毒症」が起こります。
この状態では、
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吐き気
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頭痛のような違和感
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だるさ
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食欲不振
など、犬にとって強い不快感が生じます。
これが夜間に強く出ることで、落ち着かず鳴く・うろうろするといった行動につながることがあります。
2. 夜間のトイレの増加(多飲多尿)
腎臓病では、尿を濃縮できなくなるため多尿(トイレが近くなる)になります。
夜中でも尿意を感じて起きてしまい、
「トイレに行きたい」
「不安で呼んでいる」
という鳴き方をすることがあります。
トイレ場所が遠かったり、足腰が弱くて移動が大変な犬ほど夜鳴きが増える傾向にあります。
3. 脱水による不安・喉の渇き
腎臓病の犬は水分バランスが崩れやすく、脱水や喉の渇きを感じやすい状態です。
夜中に「水を欲しがって鳴く」「落ち着かない」という行動もよく見られます。
常に新鮮な水が飲めるように、寝床の近くに水を置く工夫が大切です。
4. 認知症(シニア犬に多い)との関連
高齢犬では、腎臓病と同時に犬の認知機能不全(犬版アルツハイマー)が進行していることもあります。
昼夜の区別がつかなくなり、夜中に目が覚めて鳴くケースも多いです。
腎臓病そのものというより、老化との複合要因で夜鳴きが出ている可能性があります。
5. 不安・孤独感による精神的ストレス
腎臓病の犬は体力が落ち、視覚・聴覚も鈍くなります。
そのため、飼い主の姿が見えない・声が聞こえないだけで強い不安を感じることがあります。
静まり返った夜は特に孤独を感じやすく、「そばに来て」と鳴くことも。
夜鳴きを放置するとどうなる?
💡Point
放置すると、体力消耗・脱水・ストレスによる症状悪化につながります。
夜鳴きが続くことで睡眠リズムが乱れ、
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昼夜逆転
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食欲低下
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免疫力の低下
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飼い主との関係ストレス
といった二次的なトラブルが起こることもあります。
🩺夜鳴きは「ただの老化」ではなく、体のSOS信号と考えてください。
腎臓病による夜鳴きの対処法
💡Point
原因を見極めて、「体・心・環境」の3方向からケアすることが大切です。
1. 体調ケア(痛み・尿毒症の軽減)
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獣医師に相談し、血液検査でBUN・クレアチニン値・リン値を確認
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点滴(皮下輸液)で体内の老廃物を流すサポートを行う
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嘔吐やだるさがある場合は薬で症状を緩和
体調の改善で夜鳴きが自然に減ることも多いです。
2. 環境ケア(安心できる夜の空間)
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寝床を飼い主の近くに置く(安心感アップ)
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部屋を適温(25℃前後)・柔らかい照明に保つ
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軽くBGMを流すことで静けさを和らげる
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トイレ・水を寝床のすぐ近くに配置
🔅ポイント:
「犬が夜中に迷わない・不安を感じない」レイアウトを心がけましょう。
3. 心のケア(不安とストレスを軽く)
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鳴いても叱らず、穏やかに声をかける
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寝る前に軽いマッサージやスキンシップを行う
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香り(ラベンダーなど犬用アロマ)でリラックス効果をサポート
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昼間に軽い散歩や日向ぼっこで生活リズムを整える
❤️「安心できる夜」をつくることが、最大のケアです。
獣医師に相談すべきサイン
以下のような場合は、自己判断せず獣医師に相談してください。
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鳴きながら嘔吐・失禁・ぐったりする
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食欲が極端に低下している
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呼吸が早く、苦しそう
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何をしても落ち着かない夜鳴きが続く
夜鳴きの裏に、進行した腎不全や合併症が隠れている可能性があります。
夜鳴きは「心と体からのメッセージ」
夜鳴きは、愛犬の「つらい」「不安」「助けて」のサインです。
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腎臓病による体の不調(尿毒症・脱水)
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老化や認知症による混乱
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環境や心理的不安
これらを一つずつ取り除いていくことで、夜鳴きは必ず落ち着いていきます。
🐾 夜鳴きは愛犬の声。
その声に優しく寄り添うことが、最良の治療の第一歩です。


