当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
腎臓病のよくある質問

腎臓病の犬はどんな食事がいい?

腎臓に負担をかけない「療法食+水分+食べやすい形」が基本

腎臓病の犬にとって食事管理は寿命を左右する最重要ポイントです。
特に意識すべきは次の3点です👇

✔ 腎臓への負担を減らす栄養設計(療法食)
✔ 水分をしっかり確保できる与え方
✔ 食欲が落ちた時にも食べやすい工夫

「療法食が良いのは分かるけど、どんな特徴があるの?」「食べない時はどうしたらいい?」という飼い主さんの悩みに答えながら、ステージ別・与え方・手作りの可否までわかりやすく解説します。


腎臓病の犬に向いている食事のポイント

腎臓病では、体内の老廃物を尿で排出しにくくなるため、**“腎臓に負担をかけない栄養バランス”**が不可欠です。特に次の5点は重要です👇

① 低たんぱく(過剰な老廃物を防ぐ)

  • 良質なたんぱく質を必要最低限に

  • 鶏・魚・卵・植物性を組み合わせることもある

② 低リン(進行を遅らせる鍵)

  • リンは腎臓で排出されにくいため制限が必須

  • 療法食にはリン吸着剤が使われていることも

③ ナトリウム(塩分)を抑える

  • 高血圧や浮腫を防ぐ効果

  • シニア向け一般食では足りない場合もある

④ オメガ3脂肪酸で腎保護

  • EPA・DHAが炎症を抑える働き

  • サーモンオイルなども使われやすい

⑤ 消化吸収のよい素材を使用

  • 胃腸への負担を減らせる

  • 食欲低下時も食べやすく、便の状態も安定

こうした条件を満たすのが「腎臓病用療法食」です。


おすすめの食事タイプ|療法食の特徴と選び方

療法食にはいくつかタイプがあります。犬の年齢・症状・好み・食欲に応じて組み合わせるのがおすすめです。

ドライタイプ(カリカリ療法食)

メリット

  • 常温保存できる

  • 歯の健康を保ちやすい

  • コスパがよい

デメリット

  • 食欲低下時に食べないことがある

  • 水分量が少ない

→ 食べない場合は「ふやかす・温める・トッピング」なども有効です。


ウェット・缶詰タイプ

メリット

  • 香りが強く嗜好性が高い

  • 水分補給も同時にできる

  • 固形が難しい犬にも与えやすい

デメリット

  • 保存が短め

  • ドライより割高

→ 食欲が落ちた犬やシニア犬に特におすすめ。


パウチ・レトルトタイプ

  • 湿り気があり、食べやすさ重視

  • 小分けパックで衛生的

  • 持ち運び・旅行・通院にも便利


ふやかし・ペースト・ミキサー対応

食欲低下時や口の衰えが出た犬には以下も有効👇

  • お湯でふやかして香りUP

  • ミキサーでペースト化

  • スープで伸ばして栄養吸収を助ける

→ 「食べない問題」の多くは与え方の工夫で改善できます。

食べない場合の対処法|無理なく工夫することが大切

腎臓病が進行すると、嗅覚・食欲・消化機能の低下によって食べなくなることがあります。
その場合は「フード変更」よりも「与え方の調整」が効果的です。

香り・温度を変えて食欲アップ

  • 人肌程度に温める

  • ふやかして香りを立たせる

  • トッピングで誘導する(負担にならない範囲で)

水分でやわらかくする

  • ウェットと混ぜる

  • お湯・スープでのばす

  • ペースト状にして舐めやすくする

少量ずつ回数を分ける

  • 1日2回→3〜5回に分散

  • 食べられるタイミングを観察

  • スプーンや指で与える方法も可

トッピング・味変えは慎重に

例:負担の少ない食材

  • ささみペースト

  • 白身魚

  • かぼちゃ・さつまいも

  • 腎臓病対応スープ

※獣医師の確認があると安心です。


手作り食はOK?メリット・注意点・危険例

「市販の療法食を食べてくれない…」
「少しでも好きなものを食べさせたい」
そんな飼い主さんも多いですが、手作りは慎重に!

手作りのメリット

  • 嗜好性が高い

  • 水分を多く含ませられる

  • シニア犬でも食べやすい

注意するポイント

  • たんぱく質とリンのコントロールが難しい

  • 栄養バランスが偏りやすい

  • 長期的には療法食に劣るケースが多い

NG食材・危険パターン

  • 高タンパク肉(牛・豚・レバー・卵白など)

  • チーズ・ヨーグルトなどリン多め食品

  • 塩分入りスープや味付き加工品

  • 人間のごはん流用

→ 基本は療法食+一時的補助程度が理想です。


ステージ別に見る「食事の考え方」

腎臓病はステージによって食事の目的も変化します。

ステージ1〜2(初期)

  • 療法食なら延命効果大

  • 脱水予防と早期対応が鍵

ステージ3(進行期)

  • ウェット・ふやかし対応が増える

  • 吐き気・貧血サポートも必要

ステージ4(末期・看取り期)

  • 食べる目的は「延命」より「苦痛軽減」

  • 少量でも口にできたらOK

  • 強制給餌は逆に負担になることも


おやつはどうする?選び方と注意点

腎臓病でも「完全禁止」ではありませんが、以下に注意します👇

おすすめ例

  • 低リン・低タンパクのおやつ

  • 野菜チップ(さつまいも・かぼちゃなど)

  • 専用おやつ(腎臓ケア用)

避けるべきおやつ

  • ジャーキー類(牛・豚・鶏加工肉)

  • チーズ入り・塩分強め製品

  • 人間用おやつ・加工品

「どうしても食べさせたいとき」は、総摂取量の10%以内を目安に。


水分補給も“食事の一部”として重要

腎臓病では脱水=悪化の加速です。
ごはんと合わせて以下を検討しましょう👇

  • 水分多めのフードにする

  • スープや薄めた出汁を活用

  • ウェット+ふやかしフード

  • 自宅皮下点滴(指示がある場合)


「食べさせる工夫」と「負担を減らす設計」が寿命を守る

腎臓病の犬にとって食事は“治療の一部”です。
大切なのは以下の3点です👇

✅● 療法食を基本にしつつ、食べ方を調整する
✅● 食べないときは工夫し、無理はしない
✅● ステージ・体調・好みに合わせて柔軟に考える

「どのフードか」より「どう食べられる形にするか」が重要です。

飼い主の工夫ひとつで寿命が数ヶ月〜数年変わることもあります。
焦らず、その子に合った方法を見つけていきましょう。