当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病と高血圧の関係

犬の腎臓病は腎機能の低下だけでなく、全身にさまざまな影響を及ぼす病気です。その中でも特に注意すべき合併症が「高血圧」です。腎臓病と高血圧はお互いに悪影響を与え合う関係にあり、進行を早める大きな要因となります。高血圧の管理は腎臓病治療の一環として不可欠であり、愛犬の健康寿命を守るための重要なポイントです。


犬の腎臓病と高血圧の関係

腎臓病が高血圧を招く理由

  • 腎臓のろ過機能が低下 → ナトリウムや水分が体内に蓄積 → 血圧上昇

  • 腎臓が分泌するホルモン(レニン-アンジオテンシン系)の異常 → 血管収縮 → 高血圧

高血圧が腎臓病を悪化させる理由

  • 血管が傷つき、腎臓の糸球体に負担をかける

  • 腎臓の血流障害が進み、さらに腎機能が低下する

  • 「悪循環」が起こり、病気の進行を加速させる


高血圧による合併症

犬の高血圧は腎臓病だけでなく、全身に深刻な影響を与えます。

  • 眼の障害:網膜剥離、失明

  • 心臓病:心肥大、心不全

  • 脳の障害:脳出血、神経症状(ふらつき、けいれん)

  • 腎臓病の悪化:腎機能のさらなる低下


高血圧の症状と気づき方

犬の高血圧は無症状のことが多く、気づかれにくいのが特徴です。ただし、以下のような症状が出る場合があります。

  • 突然の失明(網膜出血・網膜剥離)

  • ふらつき、けいれん、意識障害

  • 頻繁な鼻出血

  • 心拍数の異常

これらの症状が見られたら、すでに重度の高血圧が進行している可能性が高いため、早急な受診が必要です。


高血圧の診断方法

  • 血圧測定:非侵襲的にカフを巻いて測定(動物病院で実施)

  • 眼底検査:網膜の出血や剥離を確認

  • 血液検査:腎機能(BUN、クレアチニン、SDMA)の評価

  • 心エコー検査:心臓肥大の有無を確認


高血圧の管理法

薬物療法

  • ACE阻害薬(エナラプリル、ベナゼプリルなど):腎臓保護と降圧効果

  • ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬):ACE阻害薬が合わない場合に使用

  • カルシウム拮抗薬(アムロジピンなど):強力な降圧効果があり、重度高血圧時に有効

食事療法

  • 低ナトリウム食で血圧上昇を抑える

  • 腎臓病用療法食は高血圧対策にも適している

生活習慣の工夫

  • 定期的な血圧測定で経過観察

  • 適度な運動で肥満防止

  • ストレスの少ない環境を整える


飼い主がよく抱く質問

腎臓病と診断されたら必ず高血圧になりますか?

必ずではありませんが、多くの腎臓病犬で高血圧が見られます。定期的な血圧測定が推奨されます。

高血圧は治せますか?

完治は難しいですが、薬や食事療法でコントロール可能です。

家庭で血圧測定はできますか?

家庭用の犬用血圧計もありますが、正確性に欠けることがあるため動物病院での測定が望ましいです。


まとめ

犬の腎臓病と高血圧は密接に関係し、互いに悪影響を及ぼす「悪循環」を作り出します。

  • 腎臓病 → 高血圧 → 腎臓へのさらなるダメージ

  • 高血圧は眼・心臓・脳にも合併症を起こす危険性がある

  • 薬物療法・食事療法・生活改善でコントロールが可能

  • 定期的な血圧測定が早期発見と管理の鍵

腎臓病治療において高血圧管理は不可欠であり、飼い主が意識的に取り組むことで愛犬の健康寿命を延ばすことができます。