犬の腎臓病は進行性の病気で、完治が難しい疾患のひとつです。そのため治療や管理において最も重要なのが「食事」です。適切な食事管理は腎臓への負担を軽減し、病気の進行を遅らせる効果があります。ここでは腎臓病における食事の基本方針と、療法食・日常食の選び方を詳しく解説します。
Contents
犬の腎臓病と食事の関係
腎臓は老廃物をろ過し、体内の水分や電解質バランスを調整する重要な臓器です。食事で摂取した栄養素のうち、たんぱく質やリンは腎臓に大きな負担をかけるため、腎臓病においては以下の栄養管理が必要となります。
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低リン設計:リンの摂取制限で腎臓への負担を軽減
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たんぱく質のコントロール:過剰摂取は毒素増加につながるが、適量は体力維持に必要
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低ナトリウム:高血圧や心臓への負担を防ぐ
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オメガ3脂肪酸:炎症を抑え腎臓保護に役立つ
療法食の特徴と選び方
腎臓病用療法食の基本設計
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低リン・低ナトリウム
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高品質なたんぱく質を適量配合
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抗酸化成分(ビタミンEなど)を配合
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オメガ3脂肪酸を豊富に含む
代表的な腎臓病用療法食
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ヒルズ プリスクリプション・ダイエット k/d
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ロイヤルカナン 腎臓サポート
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スペシフィック CKDサポート
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国産療法食(ドクターズケアなど)
療法食の選び方ポイント
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犬の嗜好に合うものを選ぶ(ドライ・ウェットの違い)
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フレーバーの種類があるブランドを試す
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獣医師の診断に基づいて選択する
日常食(一般フード)の選び方
腎臓病が軽度または予防目的の場合、一般フードを選ぶ際にも注意が必要です。
選び方のポイント
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「低リン設計」「シニア犬用」などの表記をチェック
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動物性たんぱく質の質が高いものを選ぶ
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添加物や人工着色料の少ないフードを選ぶ
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高ナトリウム含有のフードは避ける
手作り食の場合
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栄養バランスが崩れやすいため必ず獣医師や栄養士に相談
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低リン食材(かぼちゃ、さつまいも、キャベツなど)を中心にする
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肉や魚は少量かつ高品質な部位を使用する
食事切り替えの注意点
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急な切り替えは下痢や拒食の原因になるため、1〜2週間かけて徐々に行う
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食欲が落ちている場合はウェットフードやふやかしフードを利用
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食べない場合は複数メーカーを試す、温めて香りを立てるなど工夫が必要
飼い主がよく抱く質問
療法食だけで腎臓病は改善しますか?
改善はしませんが、進行を遅らせる大きな効果があります。基本治療と並行して必須となる管理法です。
健康な犬に腎臓病用フードを与えてもよいですか?
栄養制限がされているため、健康な犬に長期的に与えるのは不適切です。必ず腎臓病と診断された犬専用です。
食欲がないときの工夫は?
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ウェットタイプやスープ仕立ての療法食を利用
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フードを温めて香りを強くする
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獣医師の指導で食欲増進剤を使用する場合もある
まとめ
犬の腎臓病において食事は治療の中心であり、進行抑制と生活の質を守るために不可欠です。
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療法食は低リン・低ナトリウム・高品質たんぱく質を特徴とし、腎臓保護に直結する
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一般フードを選ぶ際も低リン・無添加を意識する
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食事切り替えはゆっくり行い、犬の嗜好に合わせた工夫が必要
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手作り食は必ず専門家に相談して栄養バランスを整える
飼い主が正しい食事管理を行うことで、愛犬の腎臓病の進行を遅らせ、健やかな生活を長く維持することができます。