「腎臓病です。」
その一言を動物病院で聞いた瞬間、多くの飼い主さんは頭の中が真っ白になります。
犬の腎臓病は“完治が難しい病気”とされているため、焦りや不安、後悔や恐怖を抱くのは当然のことです。
しかし大切なのは、
診断された“その日”にどんな行動をするかで、その後の寿命や生活の質(QOL)が大きく変わる
ということです。
今日は、腎臓病と診断されたその日に、飼い主がまず取り組むべき “最重要の3つの行動” をわかりやすく解説します。
Contents
診断された日に必ずやるべきこと3つ
① 検査結果(数値)を理解し、現状を正しく把握する
② 食事・水・薬の“今日からの生活プラン”を立てる
③ 今後の治療方針と通院スケジュールを医師と決める
この3つを押さえることで、
✔ 不安が整理される
✔ 何をすべきか明確になる
✔ 愛犬の負担を減らせる
✔ 余命を大きく伸ばせる
というメリットがあります。
では、それぞれ詳しく見ていきましょう。
① 検査結果(数値)を理解する|“どれくらい悪いのか”を把握するのが最優先
腎臓病と診断された日に最も重要なのは、
今、腎臓がどれくらいの状態なのかを明確に知ることです。
腎臓病の重症度は、以下の数値で分類されます。
■ 見るべき検査値(必ず理解すべき)
● BUN(尿素窒素)…老廃物の蓄積量
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高いほど腎臓が老廃物を捨てられていない状態。
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正常:7〜27 mg/dl
● Cre(クレアチニン)…腎臓のろ過能力
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腎臓病ステージ決定に重要。
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正常:0.5〜1.4 mg/dl
● SDMA …“腎臓病の早期発見マーカー”
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Creより早く異常が出る。
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正常:0〜14 μg/dl
● リン(P)…リン値の上昇は予後を悪化させる
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高リン血症は食欲低下や吐き気を招く。
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正常:2.5〜6 mg/dl
● 尿比重(USG)…腎臓の濃縮力
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腎臓が水を調整できているかを見る。
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1.030未満は要注意。
■ これらをもとに腎臓病“ステージ”を判断する
IRIS(国際腎臓病学会)という基準でステージ分類されます。
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ステージ1:軽度(早期)
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ステージ2:中等度
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ステージ3:進行期
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ステージ4:重度
このステージにより、
食事・薬・通院の方針が大きく変わるため、
必ず獣医師から説明を受け、メモしておきましょう。
■ 不安な場合は必ず“紙かスマホにメモ”する
飼い主さんの多くが、診断日には動揺して説明を覚えられません。
以下はそのまま使える質問リストです。
📌 腎臓病と診断された日に医師に聞くべき質問リスト
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今のステージ(重さ)はどれくらいですか?
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数値の中で特に気をつけるべきものは?
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次の検査はいつ受けるべき?
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食事はすぐに切り替えた方がいい?
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薬は一生必要ですか?
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生活で禁止すべきことはありますか?
この質問だけで、その日の不安が大幅に軽くなります。
② 今日からの“食事・水・薬”の生活プランを立てる
腎臓病と診断されたその日から、
生活習慣の3つの柱が大きく変わります。
それが
✔ 食事
✔ 水分
✔ 薬
です。
■ 1. 食事|療法食が最重要(効果がエビデンスで証明されている)
腎臓病治療で最も効果があるのは
療法食(腎臓サポート食) です。
科学的に、
「療法食を食べた犬の寿命は、食べていない犬より明確に長くなる」
ことがわかっています。
● 療法食の基本
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低リン
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適度なタンパク質(高品質)
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ナトリウム制限
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オメガ3脂肪酸で炎症抑制
● ただし“いきなり切り替え”はNG
急に変えると食べなくなり、かえって悪化します。
ゆっくり切り替えが基本です。
■ 2. 水分|腎臓病の犬は常に脱水リスクがある
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水をたくさん飲む(多飲)は腎臓病のサイン
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飲まない場合はもっと危険(脱水 → 腎臓悪化)
その日からできる水分ケア
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常に水を複数置く
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フードに水やスープをかける
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飲み慣れた水を用意する
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ウェットフードを活用
脱水は腎臓に直撃するため、
水分は最優先事項です。
■ 3. 薬|腎臓病の進行を遅らせる“必須の道具”
ステージによって医師から薬が出されることがあります。
よく使われる薬
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ACE阻害薬(エナラプリル等)
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ARB(テルミサルタン)
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リン吸着剤
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吐き気止め
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食欲増進剤
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サプリ(オメガ3)
「薬は怖い」と考える飼い主さんもいますが、
腎臓病では薬の有無で寿命が大きく違うことが多いです。
③ 今後の治療方針を決める|“迷わないためのロードマップ”を作る
腎臓病は慢性疾患であり、
長く付き合っていく必要があります。
診断されたその日に、
今後の行動計画(ロードマップ)を作っておくことで
迷いがなくなり、焦りも減ります。
■ 1. 通院スケジュールを決める
基本目安は以下の通り:
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ステージ1:3〜6ヶ月に1回
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ステージ2:2〜3ヶ月に1回
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ステージ3:1ヶ月に1回
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ステージ4:2〜3週間に1回
「今後、何ヶ月ごとに通えばいいですか?」と必ず質問しましょう。
■ 2. 緊急時のサインを知る
腎臓病で“すぐ病院へ行くべき危険サイン”は以下:
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まったく食べない(1日以上)
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下痢・嘔吐が続く
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水を飲まない
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尿が少ない・出ない
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呼吸が早い
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ぐったりしている
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目がチカチカする(高血圧のサイン)
腎臓病の悪化は早く、
数日で命に関わることもあります。
■ 3. 家でのケアの基準を作る
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1日の飲水量のメモ
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ごはんの食べた量
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体重の変化
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トイレの様子
腎臓病の犬では「変化にすぐ気づくこと」が命を守るポイントです。
腎臓病と診断された日は“焦らず準備する日”
腎臓病は決して絶望の病気ではありません。
早く正しいケアを始めることで、
寿命は確実に伸ばすことができます。
今日からやるべきことはこの3つ
① 検査値を理解し、ステージを把握する
② 食事・水・薬の生活プランを整える
③ 今後の治療方針(ロードマップ)を決める
大切なのは、「できること」を確実に積み重ねること。
焦らず、落ち着いて、今日から一緒にケアを進めていきましょう。


