腎臓病の犬と一緒に旅行したり、実家へ帰省したりすることはできるのでしょうか?
答えは 「状況によっては可能。ただし十分な準備と注意が必要」 です。
腎臓病の犬は、環境の変化・気温差・移動ストレスで体調を大きく崩しやすく、旅行の内容や距離によっては腎臓への負担が急激に増えてしまうこともあります。
本記事では、「腎臓病の犬が旅行や帰省する際に注意すべきポイント」を、具体的かつ実践できる形で詳しく解説します。
旅行を検討している方、どうしても移動が必要な方、そして帰省の際に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたい内容です。
Contents
腎臓病の犬は旅行しても大丈夫?答えは“場合による”
結論から言うと、腎臓病の犬でも旅行は不可能ではありません。しかし、以下の3つを満たす場合に限られます。
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現在の体調が安定していること
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移動距離が長すぎないこと
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事前準備とケアが十分に行えること
腎臓病は食欲・飲水・排泄が少し乱れるだけでも腎臓にダメージが積み重なります。
旅行の楽しさよりも、
「犬の体調を崩さないこと」が最重要 です。
特に「帰省」は、旅行以上にストレス要因が多い場合があります。
実家には犬が慣れていない匂いや音が多く、人の出入りも多いため、「落ち着けない環境」になりやすいのです。
旅行前に必ず行う健康チェック
旅行前に、以下のポイントを確認しましょう。ひとつでも嫌な予兆がある場合は、旅行を延期する方が安全です。
1. 食欲はあるか?
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数日間、食事量がいつも通りか
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食べむらが増えていないか
食欲低下は腎臓負担の大きな赤信号です。
旅行前に食べない日は要注意。
2. 飲水量は変わっていないか?
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水を飲む量が増えている(悪化の可能性)
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飲まない(脱水リスクが強い)
脱水は腎臓病にとって致命的です。
3. 尿量や排尿リズムが安定しているか?
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尿が極端に濃い
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尿量が減った/増えすぎ
どちらも腎臓機能の低下を示す場合があります。
4. 嘔吐・下痢はないか?
直前の体調不良は絶対のNGサイン。
嘔吐や下痢がある状態での旅行は、腎臓病犬には非常に危険です。
5. 直近の検査値(BUN・Cre・リン・SDMA)
旅行前に検査しておくと安心です。
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BUN・Creが上昇傾向
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リン値が高い
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SDMAが基準以上
これらが続く場合、移動は推奨されません。
旅行前の準備|必ず持っていくべきアイテム
腎臓病の犬との旅行は、事前準備で8割が決まります。
1. 普段食べている療法食(多めに)
旅行先で手に入らない可能性があるため、予定の2倍量を持っていきましょう。
「ご飯を変える=腎臓病悪化」に繋がるため危険です。
2. 薬・サプリ・投薬スケジュール表
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ACE阻害薬・降圧薬
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リン吸着剤
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サプリメント(オメガ3など)
時間通りに与えられるよう、スケジュール表を作っておくと便利 です。
3. 皮下輸液が必要な犬はセット一式
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点滴パック
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針
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シリンジ
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アルコール綿
獣医師の許可があれば旅行先でも輸液できます。
4. 飲み慣れた水(硬度が違うと飲まない犬がいる)
水の味が変わると飲まなくなる犬がいます。
脱水は腎臓に大打撃なので、いつもの水を持参してください。
5. ベッド・毛布・においの付いたもの
匂いが違う環境は腎臓病の犬にストレスを与えます。
普段使うベッドや毛布は必須です。
6. 緊急時の動物病院リスト
旅行先の近くに
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夜間救急
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腎臓病に強いクリニック
があるか調べておきましょう。
移動中の注意点|車・電車・飛行機に分けて解説
犬の腎臓病では、移動ストレスが腎臓を悪化させることがあります。
車移動(最もおすすめ)
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クーラーで温度管理
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直射日光を避ける
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1〜2時間に1回休憩
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水分補給はこまめに
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嘔吐しやすい場合は獣医師に相談して酔い止めを準備
車は環境をコントロールしやすく、腎臓病の犬に最も適しています。
電車移動(犬が緊張しやすい)
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音・振動・人混みのストレス
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長時間の緊張状態 → 脱水のリスク
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キャリーケース内の温度が上昇しやすい
水を飲みにくい環境のため、短時間で済む移動に限定する方が安全です。
飛行機移動(腎臓病の犬には基本おすすめしない)
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気圧変化
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音や振動
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貨物室輸送の危険性
特に腎臓病ステージ3〜4の犬には推奨できません。
どうしても必要な場合は、獣医師と必ず相談してください。
旅行先での過ごし方|腎臓に負担をかけないために
旅行先で注意すべき最重要ポイントは以下の6つです。
1. 温度と湿度の管理
腎臓病の犬は、温度変化が苦手です。
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冷えすぎ
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暑すぎ
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湿度が高い
これらは腎臓への負担を増やします。
宿泊先では
エアコンで一定の温度(22〜26℃)
を保つことが大切です。
2. 水分摂取を確保する
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ウェットフードやスープで水分を増やす
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冷たすぎない水を与える
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いつでも飲めるようにボウルを複数置く
旅行中は脱水になりやすいため、水分管理は最優先事項です。
3. 食事が変わらないようにする
絶対にやってはいけないこと:
旅行先でフードを変えること
・食べなくなる
・下痢
・嘔吐
→ 腎臓病の悪化につながります。
必ずいつもの療法食を与えてください。
4. トイレ環境を普段と近づける
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室内トイレの位置を固定
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ペットシーツは普段の匂いがあるものを使う
環境が変わると排泄を我慢することがあり、これは腎臓に負担をかけます。
5. 過度な観光・運動をしない
「旅行だからたくさん歩かせたい」は危険です。
腎臓病の犬の旅行は
“散歩+宿でゆっくり過ごす”
くらいがちょうど良いです。
6. 見知らぬ場所のストレスを減らす
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静かな部屋を確保
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人の出入りが少ない時間に散歩
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犬が安心できるグッズを持参
ストレスは腎臓に直結します。
帰省で特に注意すべきポイント(旅行より難しい)
帰省は旅行よりもトラブルが起きやすいです。
1. 他の動物・知らない人が多い環境
興奮・緊張 → 心拍数上昇 → 脱水 → 腎臓への負担
という流れが起きる可能性があります。
2. 生活音・匂いの違い
特に実家は
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生活音が大きい
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他の匂いが強い
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環境が古く温度管理が難しい
これがストレスに。
3. 食べ物の“誤食リスク”
実家で起きがちな問題:
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こっそりおやつを与えてしまう
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人間の食べ物を落とす
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塩分の高い食品を与える
腎臓病の犬には非常に危険です。
4. 水を飲まなくなる(水の硬度の違い)
実家の水が合わず飲まない犬は多いです。
飲まない=脱水=腎臓悪化
必ず「普段の水」を持参してください。
旅行や帰省を避けるべきケース
以下に当てはまる場合、旅行は絶対に控えてください。
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IRISステージ3〜4(中等度〜重度腎不全)
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食欲低下が続いている
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嘔吐・下痢がある
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脱水気味
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高齢で体力が落ちている
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皮下輸液が必須
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投薬を正確に管理できない環境
迷う場合は「行かない」という選択が犬にとっての優しさです。
どうしても移動が必要な時の対策
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移動前後の食事量を調整
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脱水予防のスープやウェットフードを活用
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獣医師に事前相談し、薬のタイミングや量を調整
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酸素室レンタルなども選択肢
「どうしても」の場合は、必ず獣医師と相談してください。
腎臓病の犬には“無理のない旅行”が最も大切
腎臓病の犬と旅行・帰省することは不可能ではありません。しかし、重要なのは 無理をさせないこと です。
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体調が安定している
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準備をしっかりする
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移動中のストレスを最小限にする
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旅行先で無理をしない
これらを徹底すれば、安全に旅行を楽しむことも可能です。
しかし迷う場合は、
「旅行を中止する」=犬の腎臓を守る最善の選択
であることを忘れないでください。
大切なのは“思い出”より“健康”。
愛犬が安心して過ごせるよう、落ち着いた環境と丁寧なケアを最優先にしてあげましょう。


