愛犬が嘔吐すると、飼い主さんは胸が締め付けられるような不安に襲われます。
特に腎臓病を抱えている犬の場合、
「病気が悪化しているの?」
「すぐに病院に連れていくべき?」
と心配が増し、気持ちが落ち着かないことも多いでしょう。
腎臓病の犬に嘔吐が見られるのは珍しいことではありません。
ただし、理由を正しく理解し、日常的にできる観察やケアを知っていると、必要以上に焦らず、愛犬に適切なサポートをしてあげられます。
この記事では、以下について解説します。
・腎臓病で吐く理由
・特に起きやすい原因
・家庭でできる対処
・様子を見て良いケース/見てはいけないケース
・受診時に役立つチェックポイント
腎臓病と向き合う飼い主さんに、安心と判断材料を届けられたら幸いです。
Contents
なぜ腎臓病の犬は吐きやすい?根本的な理由
腎臓病で吐く原因はひとつではありません。
複数の要因が重なり合い、嘔吐につながることが多いため、
「吐く=悪化」
と決めつける必要はありませんが、一方で注意すべきサインでもあります。
ここでは“体の中で起きていること”をわかりやすく見ていきます。
●老廃物(尿毒素)が体に溜まってしまうため
腎臓は、体にとって不要な老廃物を尿として外に出す「フィルター」のような役割を担っています。
腎機能が落ちてくると、このフィルター機能が弱まり、老廃物が血液中に残りやすくなります。
これがいわゆる尿毒素の蓄積につながり、
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吐き気
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食欲不振
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元気の低下
といった症状が現れやすくなります。
特に血液検査の
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BUN(尿素窒素)
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クレアチニン
が上がっている時は嘔吐関連の症状が出やすいとされています。
●胃が荒れやすく、胃酸が過剰になりやすい
腎臓病の犬の多くは、胃腸がデリケートになります。
老廃物の影響に加え、体のバランスが崩れることで 胃酸が増えたり、胃粘膜が荒れたりしやすい 状態になります。
そのため、
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黄色い液体を吐く(胃液)
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朝方に吐く
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空腹が長いと吐く
という症状が出ることもあります。
これは腎臓病の犬に比較的よく見られるタイプの嘔吐です。
●脱水になりやすいため
腎臓病になると、腎臓は尿を濃縮する力が弱くなり、
おしっこが大量に出る → 体が脱水気味になる
ということが起こりやすくなります。
脱水が進むと胃腸の動きが鈍り、吐き気や食欲低下を起こすことがあります。
例えるなら、
“胃がカラカラの砂漠になったような状態”
と想像するとイメージしやすいかもしれません。
●電解質バランスや体のpHが乱れる
腎臓は、体の酸性・アルカリ性のバランスを整える役割も持っています。
腎機能が落ちると、このバランスが乱れ、嘔吐を引き起こす原因にもなります。
これは身体内部のより深い変化で、飼い主が外から見て判断することは難しい部分ですが、検査でわかる重要なポイントです。
●投薬や治療の影響で一時的に吐くことも
腎臓病で飲む薬の中には、胃に負担がかかるものもあります。
飲み始めや体調によって一時的に吐くことがあるため、
「薬が合わないのかな?」
と不安になることもあります。
ただし、薬の調整は必ず獣医師と相談しながら進めることが必要です。
家庭でできる対処法|“治す”のではなく“楽にする”ために
腎臓病そのものによる嘔吐は、家庭だけで根本的に治すことはできません。
しかし、愛犬が楽になるための工夫はたくさんあります。
ここでは、様子を見ても大丈夫な状況を前提にした「家庭でのケア」を紹介します。
●吐いた直後は無理に食べさせず、少し休ませる
胃が荒れた状態で無理に食事をさせると、さらに吐いてしまうことがあります。
数時間は消化器を休ませ、静かに過ごさせてあげましょう。
●食事は“少量×回数増”へ
胃に負担をかけないため、
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一度の量を少し減らす
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1日2回→3〜4回に分ける
などの工夫が効果的です。
腎臓病の犬は空腹で吐くことも多いため、
“胃を空っぽにしすぎない”こともポイントです。
●フードの形状を変えて食べやすくする
例えば、
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ウェットを混ぜる
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お湯でふやかす
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少し温めて香りを立たせる
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なめらかなペースト状にする
など、軽いアレンジで食欲が戻ることがあります。
●水分補給の工夫で脱水を防ぐ
脱水は嘔吐の原因にもなるため、水分ケアはとても重要です。
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水飲み場を複数置く
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スープ状のご飯にする
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低濃度の犬用スープを少し混ぜる
-
新鮮な水をこまめに交換
などが有効です。
●すでに処方されている胃薬がある場合は、それを使う
動物病院で胃薬を処方されている場合は、自己判断で量を変えずに使うことが大切です。
効果が出にくい時は獣医師に相談し、薬の種類や方法を調整してもらうこともできます。
様子を見てもよいケース・見てはいけないケース
腎臓病の犬は「少し吐く」こと自体は珍しくありません。
しかし、危険な状態の可能性もあるため、見極めが非常に大切です。
◎ 家庭で様子を見てもよいケース
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1回だけ吐いた
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吐いた後、食欲が戻っている
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水も普通に飲む
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元気がある
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いつも通り歩ける
こうした場合は、短時間で改善することもあります。
✖ すぐに受診した方がよいケース
以下のような症状がある場合、 早急な診察が必要です。
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何度も吐く
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水を飲んでもすぐ吐く
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明らかにぐったりしている
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食欲が1日以上戻らない
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吐いたものに血が混じる
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下痢や発熱を伴う
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呼吸が荒い
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嘔吐が数日続く
腎臓病の犬での嘔吐は、
悪化の早期サイン
であることも少なくありません。
迷ったときは、電話で病院に相談することが安心です。
嘔吐があった時に記録しておくと役立つこと
病院へ行く場合、次の情報を伝えると獣医師の判断がより正確になります。
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吐いた時間・回数
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吐いたものの色や量
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食べた直後か、空腹の時か
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水分の摂取量
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おしっこの量や色
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元気の有無
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現在飲んでいる薬
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直前に変えたフードの有無
これらの情報は「嘔吐の原因」を特定する大事なヒントになります。
吐くことは珍しいことではないが、見守りが重要
腎臓病の犬が吐く理由には、
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尿毒素の蓄積
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胃粘膜の荒れ
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脱水
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pHバランスの乱れ
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投薬の影響
など、複数の要因が絡み合っています。
1回だけの嘔吐で元気がある場合は、家庭のケアで様子を見られることもありますが、
繰り返し吐く・元気がない・水すら吐く
といった場面では早めに受診することが大切です。
愛犬の変化に気づいてあげられるのは、毎日そばにいる飼い主さんだけ。
心配な時はためらわず、専門家のアドバイスを頼ってくださいね。
あなたの愛犬が、少しでも穏やかに、安心して過ごせますように。


