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腎臓病は“気づきにくい病気”だから、小さな変化を見逃さないことが大切
犬の腎臓病は、初期段階ではほとんど症状が出ません。
飼い主が異変に気づく頃には、すでにステージ2〜3へ進行しているケースが多い病気です。
✔「なんとなく元気がない」
✔「水をよく飲むようになった気がする」
✔「フードを残す日が増えた」
こうした“小さな変化”こそが初期サインです。
この記事では、初期〜中期〜末期までの症状の流れをわかりやすく解説します。
「うちの子、大丈夫かな?」と思ったら、ぜひチェックしてください。
初期症状|気づきにくいが見逃すと危険なサイン
腎臓病の初期(ステージ1〜2)は、日常の行動変化として現れることが多いです。放置すると進行スピードが加速するため、早期発見が重要です。
① 水をよく飲む・おしっこが増える(多飲多尿)
腎臓がうまく老廃物を濾過できなくなると、体は「水を飲んで薄めよう」とします。
▼初期のチェックポイント
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いつもより水皿が早く空になる
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おしっこの回数や量が増える
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夜中にトイレに行きたがる
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おしっこの色が薄くなる
これは最も早く出やすいサインです。
② 食欲が落ちる・残す日が増える
腎臓の負担によって、消化や代謝機能が弱まり始めます。
▼よく見られる変化
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好きなおやつ以外に興味を示さなくなる
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食べ始めてもすぐやめる
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ふやかさないと食べない
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食事中に匂いを嗅ぐだけで終わる
「老化かな?」と思われがちですが、腎臓病の初期症状でもあります。
③ 体重減少・筋肉が落ちる
腎臓病ではたんぱく質が分解されやすくなるため、筋肉量が低下します。
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背骨や腰骨がゴツゴツしてくる
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触ると体がやせ細って感じる
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肋骨が浮き出る
シニア犬の場合は特に注意が必要です。
④ 毛ヅヤが悪くなる・皮膚が乾燥する
栄養吸収の低下と脱水によって、次のような変化が出ます。
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毛がパサパサして艶がなくなる
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毛並みがぼさぼさする
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静電気が起きやすくなる
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皮膚が乾燥してフケが出る
「シャンプーのせいかな?」と勘違いしやすいポイントです。
⑤ なんとなくだるそう・遊ばなくなる
初期でも、代謝機能が落ちることで体に疲労感が出ます。
▼よくあるサイン
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寝ている時間が増える
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呼んでもすぐに来ない
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散歩に行きたがらない
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遊びに乗ってこない
“シニアあるある”と思い込むのが最も危険です。
中期症状|体調の変化が目立ち始める段階(ステージ2〜3)
初期症状を見逃すと、徐々に症状がはっきりしてきます。ここで対処すれば寿命を延ばせる可能性があります。
① 嘔吐・下痢・口臭(アンモニア臭)
腎臓は体内の老廃物を排出する役割があります。
機能低下により、毒素が体内に溜まることで次の症状が出てきます。
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胃液や白い泡状の嘔吐
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食べたものを吐き戻す
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下痢や軟便を繰り返す
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口臭が強くなる(尿のような匂い)
特にアンモニア臭の口臭は腎臓病の代表的な症状です。
② 脱水(口の乾き・目のくぼみ)
腎臓機能が低下すると、体の水分調節がうまくいかなくなります。
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鼻が乾いている
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口の中がカラカラ
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皮膚をつまんでも戻りにくい
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目がくぼんで見える
水を飲んでいても脱水が進むことがあるため要注意です。
③ 貧血・歯茎や舌が白っぽくなる
赤血球が作られにくくなることで、酸素が体に行き渡らなくなります。
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歯茎がピンクではなく白っぽい
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少し歩いただけで息切れ
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階段や段差を嫌がる
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目の下が青白い
貧血は腎臓病中期〜末期によく見られます。
④ 動く時間が減る・寝てばかりになる
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寝たきりの時間が増える
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散歩の歩幅が小さくなる
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名前を呼んでも反応が遅い
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頭を上げるのもしんどそう
“高齢だから”と思い込まず、早めに検査を。
末期症状|命に関わるサイン(ステージ4)
治療や点滴をしていても進行が止まらなくなる段階です。
この時期は「延命より苦痛の緩和」を優先するケースもあります。
① ごはんを食べない・水も口にしない
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大好きなフードにも反応しない
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与えても吐き出す
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シリンジでも拒否する
❗ 食べない状態が続くと、余命は短くなります。
② ぐったりして動けない
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呼びかけに反応しない
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立ち上がれない
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寝返りも難しい
③ 呼吸が荒い・不規則になる
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肩で息をする
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呼吸数が急に増える・浅い
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口呼吸が増える
④ 震え・痙攣・ふらつき
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尿毒症による神経症状
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意識がぼんやりする
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足がもつれる
⑤ 尿が出ない・垂れ流しになる
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排尿回数が激減
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色が濃い・臭いが強い
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おむつでも対応が必要なケースも
【※この時期は看取り準備・緩和ケア・延命判断が重要になります】
症状に気づいたらすぐ病院へ行くべき理由
腎臓病は自宅判断で様子を見ると進行が早まる病気です。
検査で判断できる項目
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血液検査(クレアチニン・BUN・SDMA)
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尿検査(尿比重・たんぱく・潜血)
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血圧測定
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超音波(エコー)
「早く気づく=寿命を延ばす最大のチャンス」です。
症状が出る前にできる予防・チェック方法
日常生活の中で、次のポイントを意識するだけで早期発見につながります👇
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水の減り具合をチェック
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フードの残し方を見る
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口臭や便・尿の状態変化に気づく
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体重の増減を記録する
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年1〜2回の血液・尿検査
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シニア犬は半年に一度が理想
気づいた時点ですぐ対応すれば寿命は変えられる
腎臓病は静かに進行する病気ですが、「気付けるポイント」は必ずあります。
✅初期サインで止められれば数年生きられることも
✅中期からのケアでも延命は十分可能
✅末期サインは“最期の合図”になることも
「なんとなくおかしいかも」と思った段階で、迷わず受診することが愛犬を守る第一歩です。


