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腎臓病の寿命は「ステージ・治療・ケア」で大きく変わる
犬の腎臓病は進行性の病気で完治は難しいですが、
発見の時期・治療内容・自宅ケアによって寿命は大きく変わります。
まず最初に、腎臓病と診断された犬が「どれくらい生きられるのか」の目安をまとめると以下の通りです。
▼腎臓病ステージ別の生存期間イメージ
| ステージ | 症状の進行度 | 生存期間の目安 |
|---|---|---|
| ステージ1〜2 | 初期・軽度 | 数ヶ月〜数年 |
| ステージ3 | 中度〜進行期 | 半年〜1年程度 |
| ステージ4 | 末期・看取り期 | 数日〜数ヶ月 |
※あくまで平均的なデータであり、ケア次第で大きく変わります。
腎臓病の寿命は「病気の進行状態」だけでなく
✔ 食事管理
✔ 点滴・投薬
✔ 水分補給
✔ 合併症の有無
✔ 飼い主の対応
などによっても左右されます。
この記事では、ステージ別の寿命目安、延命できたケース、看取り期のサインまで分かりやすく解説します。
✅腎臓病のステージ別「生存期間の目安」
腎臓病の進行度は、IRIS(アイリス)分類という国際基準でステージ1〜4に分かれます。
それぞれの段階で「どれくらい生きられる可能性があるか」を詳しく見ていきましょう。
ステージ1〜2(初期〜軽度)|数ヶ月〜数年生きられるケースも
初期の場合は、症状がほとんど出ていないか、血液検査で軽度の異常が見つかった段階です。
【この段階での対処で寿命が延びやすい理由】
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療法食に切り替えるだけで進行を抑えられることもある
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点滴や薬が不要な場合も多い
-
本犬が元気なことが多い
-
発見が早いほど余命が長くなる傾向
▼平均生存期間の目安
👉 数ヶ月〜3年以上生きるケースも
👉 7歳〜10歳で見つかることも多く、その後も長生きする犬も多いです
ステージ3(進行期)|半年〜1年程度が目安
症状が目立ち始め、以下のような変化が出てきます。
-
食欲が落ちる
-
水をよく飲み、おしっこが薄く多い
-
貧血気味
-
体重減少
この段階からは、療法食・内服薬・自宅または通院での点滴治療が重要になります。
▼平均生存期間の目安
👉 約半年〜1年
👉 うまく管理すれば1年以上生きる犬も珍しくありません
ステージ4(末期〜看取り期)|数日〜数ヶ月
この段階では腎機能がほぼ働かず、以下のような症状が現れることが多いです。
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ごはんを食べない・水も飲まない
-
嘔吐・下痢・口臭(アンモニア臭)
-
尿が出ない・出ても少量
-
ぐったりして動けない
-
尿毒症・けいれん・呼吸の変化
【平均余命の目安】
👉 数日〜1ヶ月程度
👉 延命治療をしても数ヶ月以内が一般的
👉 ただし「奇跡的に半年以上生きる例」も存在
✅寿命を左右する5つの重要ポイント
実は「ステージ」だけで寿命は決まりません。
どれだけ早く気付けたか、どうケアするかで大きく変わります。
以下の5つが寿命に直結する重要要素です👇
✅① 発見の早さ(初期発見が最大の差)
腎臓病は症状が出にくく、発覚が遅れがちです。
早期発見ほど寿命が長くなる理由
-
残された腎機能を守れる
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食事療法だけで進行を遅らせられる
-
合併症の予防がしやすい
-
高齢でも数年維持できるケースも
✅② 療法食(予後を左右する最大要因)
療法食は腎臓に負担をかけない特別な食事で、延命効果が大きく報告されています。
✔ タンパク質・リン・ナトリウムを制限
✔ オメガ3脂肪酸で腎保護
✔ 血液中の毒素を溜めにくくする
▼療法食を始めた犬の生存率の一例
・食事療法なし → 数ヶ月で悪化
・療法食あり → 1〜3年以上生存する犬も
✅③ 水分補給(点滴含む)
腎臓病では脱水が命取りになります。
■水分確保で延命できる理由
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毒素を薄める
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尿毒症の進行を遅らせる
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食欲や活動量の維持に繋がる
自宅皮下点滴(輸液)ができると寿命が延びるケースも多いです。
✅④ 投薬・サプリメント
状態に応じて以下のような薬が使われます👇
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貧血治療薬
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吐き気止め・胃薬
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血圧を下げる薬
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リン吸着剤
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活性炭サプリ
これらにより**「苦しい→食べない→悪化」の連鎖を防げる**ことがあります。
✅⑤ 合併症の有無
腎臓病は単体で進行することもあれば、他の症状を伴う場合もあります。
【寿命を縮めやすい合併症例】
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貧血
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高血圧
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再発性膀胱炎
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心疾患
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尿毒症
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肝機能低下
合併症ケアが成功している犬は生存期間が2倍以上になるケースもあります。
✅放置した場合と治療した場合の寿命の差
腎臓病は「対処しない場合」と「治療した場合」で、寿命に大きな差が出る病気です。
▼治療・ケアをしなかった場合
以下のようなケースでは症状が急速に悪化します。
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療法食に切り替えない
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脱水状態を放置
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嘔吐・食欲不振をそのままにする
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点滴・薬なし
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検査や通院をしない
▶ 余命:数週間〜数ヶ月で悪化する可能性が高い
▼治療・ケアを行った場合
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療法食+投薬+水分補給の継続
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自宅点滴や通院点滴
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合併症対策
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早期からの管理
▶ 余命:半年〜数年生きる例も存在する
特に「初期〜中期」で治療を始めた犬は、発見後3年以上元気に暮らすケースもあります。
✅腎臓病でも長生きしている犬の共通点
実際に生存期間が長い犬には、以下のポイントが共通しています👇
✅① 早期に気づけている
年1〜2回の血液検査で発見された犬は圧倒的に長生きします。
✅② 食事と水分管理が徹底されている
・療法食の継続
・おやつの制限
・スープやウェットで水分UP
・脱水防止の点滴
✅③ 飼い主の判断が早い・こまめ
「食べない」「水を飲まない」などの変化にすぐ対処できているケースが多いです。
✅④ 獣医師と連携できている
通院や相談が定期的に行われていることで、悪化を防げることがあります。
✅末期・看取り期に見られるサインと目安期間
腎臓病が末期に近づくと、以下のサインが見られます👇
✅よくある末期症状
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ごはん・水を拒否する
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嘔吐・よだれ・口臭(アンモニア臭)
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ぐったりして動かない
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尿や便が出ない・垂れ流し
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夜鳴き・痙攣・ふらつき
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呼吸が浅い・速い
こうした変化が出始めたら、余命は数日〜数週間が目安となります。
ただし、点滴や投薬により1〜3ヶ月持つケースもあります。
✅寿命を延ばすために飼い主ができること
腎臓病は完治こそ難しいですが、“進行を遅らせること”は可能な病気です。
次の4つは特に効果が期待できます👇
✅① 療法食の継続
拒否する場合はウェット・ふやかし・温めも活用
✅② 水分補給(+皮下点滴)
・自宅点滴ができれば延命効果大
・飲水量が減ったらすぐ対応
✅③ 定期検査(血液・尿・血圧)
悪化を早く察知できれば命を延ばせる可能性UP
✅④ ストレス・体力管理
・寒さ、暑さ、疲れを避ける
・過度な運動は控える
・安心できる寝床づくり
✅「どれくらい生きられるか」は努力次第で変えられる
犬の腎臓病は寿命が決められている病気ではありません。
次の3つを意識することで、生きられる期間も、最期の過ごし方も大きく変わります👇
✅ 早期発見・早期治療が最大の延命策
✅ 食事・水分・点滴のケアが寿命に直結
✅ 看取り期は「時間」より「苦痛の少なさ」が重要
**「いつまで生きるか」より「どう生きさせてあげるか」**が、飼い主にできる最も大切なサポートです。


