犬の腎臓病は特に高齢犬で多く見られ、寿命や生活の質に大きく影響する重大な病気です。慢性腎臓病(CKD)は進行性で完治が難しく、飼い主ができるのは早期発見と予防による生活の質の維持です。ここでは犬の腎臓病の原因、症状、そして予防法について詳しく解説します。
Contents
腎臓病とは?犬にとっての重大な病気
腎臓は血液をろ過し老廃物や余分な水分を尿として排出する臓器で、体のバランス維持に欠かせません。腎臓病になると毒素が体に溜まり、全身の健康が損なわれます。
犬の腎臓病は大きく2種類に分けられます。
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急性腎臓病:短期間で急に腎機能が低下し、治療次第で回復可能な場合があります。
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慢性腎臓病(CKD):時間をかけて進行する病気で、一度低下した腎機能を取り戻すことは難しく、進行を抑える管理が必要です。
特に慢性腎臓病は高齢犬の死因としても上位に位置しており、ある調査では10歳以上の犬の20〜30%が腎機能の低下を示すと報告されています。
犬の腎臓病の原因
加齢による腎機能の低下
7歳を超えると犬はシニア期に入り、腎臓の働きも徐々に弱まります。加齢は腎臓病の最大のリスク要因です。
遺伝的要因
一部の犬種は遺伝的に腎臓病を発症しやすいとされています。
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シーズー
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ゴールデン・レトリバー
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プードル
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ビーグル
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コッカー・スパニエル
食生活や栄養バランスの偏り
高タンパクや高リン、塩分の多い食事は腎臓への負担となります。長期的に偏った食事を続けることで腎臓病を引き起こすことがあります。
脱水や感染症
水分不足や膀胱炎、尿路結石なども腎臓にダメージを与える原因です。
腎臓病の症状を見抜く方法
腎臓病は初期症状が分かりにくい病気ですが、次のようなサインは見逃してはいけません。
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多飲多尿(飲水量や尿量が増える)
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食欲不振
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体重減少
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嘔吐や下痢
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アンモニア臭のする口臭
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被毛のツヤがなくなる
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元気がない、動きが鈍くなる
これらは「老化かな」と思われがちですが、腎臓病が隠れているケースも多いため注意が必要です。
犬の腎臓病を予防する方法
定期的な健康診断
血液検査と尿検査は腎臓病の早期発見に有効です。
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BUN(尿素窒素):腎機能低下で上昇
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クレアチニン:腎臓病の代表的指標
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SDMA:クレアチニンより早期に異常を検出可能
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尿比重:尿の濃縮力を確認
特にSDMAは近年注目され、早期発見に役立ちます。高齢犬は年に2回の検査が推奨されます。
水分補給を徹底する
常に新鮮な水を与えることはもちろん、給水器の導入やウェットフードの利用で水分摂取を促しましょう。脱水は腎臓への負担を増やすため要注意です。
食事管理
腎臓ケア専用のフードや療法食は腎臓への負担を減らします。
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低リン・低ナトリウム設計
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高品質なたんぱく質を適量含む
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オメガ3脂肪酸を配合
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添加物や着色料が少ないもの
代表的な腎臓病対応フードには「ヒルズ k/d」「ロイヤルカナン 腎臓サポート」などがあります。
体重管理と運動
肥満は腎臓への負担を大きくします。日々の体重測定と、無理のない散歩を継続しましょう。
感染症・歯周病の予防
歯周病菌は血流を通じて腎臓にも影響を与えます。デンタルケアは腎臓病予防の一環です。
腎臓病ケアに役立つフードとサプリメント
腎臓病用の療法食や、獣医師の指導のもとで使用するサプリメントは予防とケアに有効です。
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リン吸着剤:食事中のリンを抑える
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オメガ3脂肪酸:腎臓の炎症抑制に有効
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ビタミンB群:尿中に失われやすいため補給が必要
ただしサプリメントは自己判断ではなく必ず獣医師に相談してください。
飼い主がよく抱く質問
腎臓病は治るのか?
残念ながら完治は難しい病気です。しかし、早期発見と適切な治療・食事管理で進行を遅らせ、生活の質を保つことは可能です。
どのくらいの頻度で検査を受けるべき?
高齢犬は年2回以上、若い犬でも年1回の健康診断が推奨されます。
水をよく飲むのは大丈夫?
多飲多尿は腎臓病の代表的なサインです。異常を感じたら獣医師に相談してください。
健康な犬に腎臓病予防フードを与えてよい?
健康な成犬にも与えられますが、成長期の子犬や妊娠中の犬には必ず獣医師に相談しましょう。
まとめ
犬の腎臓病は進行性で命に関わる病気ですが、日常のケアと定期的な検査で予防や早期発見が可能です。
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定期的な健康診断(血液検査・尿検査)
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水分補給の徹底
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腎臓に配慮したフード選び
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体重管理と適度な運動
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歯周病予防
これらを習慣化することで、愛犬の健康寿命を延ばし、飼い主と犬が長く幸せに暮らせる未来をつくることができます。飼い主の意識と日常の行動が、愛犬の腎臓病を防ぐ最良の手段となります。