犬が腎臓病と診断されたとき、食事管理は治療の中心的な役割を担います。市販の療法食が基本ではありますが、手作り食を取り入れたいと考える飼い主さんも少なくありません。手作り食には新鮮な食材を使えるメリットがありますが、栄養バランスを崩すと腎臓に大きな負担をかけてしまうリスクもあります。ここでは腎臓病の犬における手作り食の考え方、注意点、食材選び、実践のポイントについて詳しく解説します。
Contents
腎臓病の犬に手作り食を与えるメリット
-
新鮮な食材を使用できる
-
嗜好性が高く、食欲が落ちた犬でも食べやすい
-
添加物を避けられる
-
個々の体調や好みに合わせて調整できる
手作り食の注意点
-
栄養バランスの欠如:独自判断で作ると、リンやナトリウムが過剰になりやすい
-
たんぱく質の管理:過剰でも不足でも腎臓に負担がかかる
-
カロリー不足:食欲が落ちている犬では必要なエネルギーを確保しにくい
-
獣医師との連携が必須:定期検査の結果に基づいて調整する必要がある
手作り食に適した食材
-
低リンの食材:白米、さつまいも、かぼちゃ
-
良質なたんぱく質:鶏むね肉、白身魚、卵白(黄身はリンが多いので注意)
-
野菜類:キャベツ、にんじん、ブロッコリー(茹でて使用)
-
脂質エネルギー源:オリーブオイル、亜麻仁油、魚油(オメガ3脂肪酸)
控えるべき食材
-
高リン食品:レバー、乳製品、ナッツ類、小魚
-
高ナトリウム食品:加工肉(ハム、ソーセージ)、塩分の多い食品
-
危険食材:玉ねぎ、にんにく、ぶどう、チョコレート(中毒の原因)
手作り食の基本レシピ例(腎臓病向け)
-
白米:エネルギー源として活用
-
鶏むね肉または白身魚(少量)
-
さつまいもやかぼちゃでカロリーを補給
-
茹でた野菜(キャベツ、にんじんなど)を加える
-
オリーブオイルや魚油を小さじで追加
※量や比率は必ず獣医師に相談し、愛犬の体重・腎機能・血液検査結果に応じて調整してください。
手作り食を取り入れる際の工夫
-
療法食と併用する形で取り入れる
-
食欲が落ちた時の「トッピング」として使う
-
栄養補助サプリメントを併用して不足を補う
-
血液検査の数値を見ながら随時調整する
飼い主がよく抱く質問
手作り食だけで腎臓病を管理できますか?
完全に手作りだけで栄養を管理するのは難しいため、療法食と組み合わせるのが安心です。
たんぱく質はどれくらい与えればいいですか?
犬の状態によって必要量は異なります。過剰も不足も危険なので、獣医師に数値を確認しながら調整してください。
サプリメントを使った方が良いですか?
リン吸着剤やオメガ3脂肪酸サプリなどは有効ですが、必ず獣医師の指示を受けてから使用してください。
まとめ
犬の腎臓病における手作り食は、嗜好性が高く新鮮な食材を与えられるメリットがありますが、栄養バランスを崩すと逆に腎臓へ負担となります。
-
新鮮食材で食欲をサポートできる
-
低リン・低ナトリウム・適正たんぱく質が基本
-
療法食と組み合わせて活用するのがおすすめ
-
獣医師の指導のもと、血液検査を参考に調整することが必須
飼い主が正しい知識を持ち、手作り食をうまく取り入れることで、愛犬の健康寿命を延ばすことができます。