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犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病と血液疾患の関係

犬の腎臓病と血液疾患の関係

犬の腎臓病は単に尿の異常や老廃物の排泄障害をもたらすだけではなく、血液の状態にも大きな影響を及ぼします。腎臓は血液をろ過する臓器であり、さらに造血ホルモン(エリスロポエチン)の分泌にも関与しています。そのため腎臓病は貧血を引き起こしやすく、また血液疾患によって腎臓病が悪化することもあります。ここでは犬の腎臓病と血液疾患の関係、代表的な合併症、そしてケア方法について詳しく解説します。


腎臓病が血液に与える影響

  • 腎性貧血:腎臓から分泌されるエリスロポエチンが減少し、赤血球が作られにくくなる

  • 血小板機能異常:尿毒素が血液凝固に影響し、出血傾向が高まる

  • 尿毒症による血液毒素の増加:赤血球の寿命が短縮し、貧血が悪化する

  • 高血圧:腎臓病に伴う血流異常が血管障害を進め、脳出血や網膜出血のリスクが高まる


血液疾患が腎臓に与える影響

  • 溶血性貧血(自己免疫性溶血性貧血など)
    赤血球破壊に伴う代謝産物が腎臓に負担をかけ、腎不全を進行させる

  • 血小板減少症(IMTPなど)
    出血傾向により腎臓内で微小出血が起こり、腎機能が低下

  • 多血症
    血液粘度の上昇により腎臓の血流障害が起こる


腎臓病と関連する代表的な血液疾患

  • 腎性貧血

  • 自己免疫性溶血性貧血(AIHA)

  • 免疫介在性血小板減少症(IMTP)

  • 血液凝固異常(尿毒症性出血傾向)

  • 高血圧性出血(脳出血、網膜出血)


合併症のリスク

  • 慢性腎不全+重度の貧血

  • 血小板異常による消化管出血や皮下出血

  • 高血圧による脳や眼の血管障害

  • 多臓器不全(腎不全+血液異常の併発)


合併症の症状

  • 蒼白な歯茎(貧血のサイン)

  • 出血しやすい、あざや皮下出血が見られる

  • 元気消失、運動を嫌がる

  • 呼吸が速い、心拍数の増加

  • 視覚異常(網膜出血による失明リスク)


管理とケアの方法

薬物療法

  • 腎性貧血:エリスロポエチン製剤や造血サプリメントを使用

  • 血小板減少症:免疫抑制剤、ステロイド、点滴療法

  • 高血圧:ACE阻害薬や降圧薬で血圧をコントロール

  • 腎臓病全般:リン吸着剤、制吐剤、利尿薬などを併用

食事管理

  • 腎臓病用療法食を基本にし、鉄分やビタミンB群など造血に必要な栄養素を補給

  • 高消化性で栄養価の高いフードを選ぶ

  • 過剰なリン・ナトリウムは避ける

水分補給

  • 血流を維持し、老廃物を効率よく排出するために水分を十分に与える

  • 脱水予防のためウェットフードやスープ状の食事を活用

定期的な検査

  • 血液検査:赤血球数、ヘマトクリット、血小板数、BUN、クレアチニン、SDMA

  • 血圧測定:高血圧の有無を確認

  • 尿検査:血尿やタンパク尿の有無を確認

生活環境

  • 過度な運動を避け、体力消耗を防ぐ

  • 安静に過ごせる環境を整える

  • 出血リスクがある場合は怪我をしにくい生活空間を工夫


飼い主がよく抱く質問

腎臓病の犬が貧血になるのはなぜですか?

腎臓が造血ホルモン(エリスロポエチン)を作れなくなるためです。

貧血は治療できますか?

完全に治すのは難しいですが、エリスロポエチン製剤や栄養補助で改善できます。

出血しやすくなっていますが危険ですか?

はい。血小板機能異常や高血圧が原因で出血傾向が強まる場合は、命に関わることもあります。早急に受診してください。


まとめ

犬の腎臓病と血液疾患は密接に関わっており、併発すると予後に大きな影響を及ぼします。

  • 腎臓病は腎性貧血や出血傾向を引き起こす

  • 血液疾患は腎臓に負担をかけ、腎不全を悪化させる

  • 管理は薬物療法・食事療法・水分補給・定期検査が基本

  • 飼い主が日常から症状を観察し、早期に対応することが愛犬の命を守るカギ