当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病と免疫疾患の関係

犬の腎臓病は加齢や生活習慣だけでなく、免疫疾患とも深い関わりがあります。免疫疾患は体の防御システムが誤作動を起こし、自分自身の組織を攻撃してしまう病気です。腎臓は免疫反応の影響を受けやすく、特に免疫が関与する腎炎や糸球体の障害は腎臓病の重要な原因のひとつです。また、腎臓病が進行すると免疫力が低下し、感染症にかかりやすくなるという悪循環も起こります。ここでは犬の腎臓病と免疫疾患の関係、合併症、ケアについて詳しく解説します。


腎臓病と免疫疾患の関係

免疫疾患が腎臓に与える影響

  • 糸球体腎炎:免疫複合体が腎臓の糸球体に沈着し炎症を引き起こす

  • ループス腎炎(SLE関連):全身性エリテマトーデスにより腎臓が障害を受ける

  • **自己免疫性溶血性貧血(AIHA)**に伴う腎障害

  • **免疫介在性血小板減少症(IMTP)**による腎出血リスク

腎臓病が免疫に与える影響

  • 尿毒素の蓄積により免疫細胞の働きが低下

  • 栄養不足や貧血による免疫力低下

  • 感染症(尿路感染症や皮膚感染症)が悪化しやすい


代表的な合併症

  • 糸球体腎炎(免疫が原因で起こる腎炎)

  • ループス腎炎(SLEに関連する腎障害)

  • 慢性腎不全+免疫力低下による感染症

  • 貧血や炎症に伴う全身の免疫異常


合併症の症状

  • 尿の異常(血尿、タンパク尿、尿量の増減)

  • 元気消失、食欲不振

  • 発熱や関節痛(免疫疾患に伴う症状)

  • 皮膚や粘膜の出血斑(免疫介在性疾患による症状)

  • 慢性的な嘔吐や下痢


管理とケアの方法

薬物療法

  • 免疫抑制剤(プレドニゾロン、シクロスポリンなど)で免疫の過剰反応を抑制

  • 腎臓病治療薬(ACE阻害薬、リン吸着剤、降圧薬など)を併用

  • 感染症予防のため抗菌薬を使用する場合もある

食事管理

  • 腎臓病用療法食(低リン・低ナトリウム・高消化性たんぱく質)を基本に

  • 抗酸化作用のある栄養素(ビタミンE、オメガ3脂肪酸)を意識

  • 食欲不振時はウェットフードや嗜好性の高いフードを工夫

水分補給

  • 常に新鮮な水を与え、脱水を防ぐ

  • 脱水や尿毒症リスクがある場合は皮下輸液を実施

定期的な検査

  • 血液検査:BUN、クレアチニン、SDMA、免疫マーカー(ANAなど)

  • 尿検査:タンパク尿の有無を確認

  • 画像検査:腎臓の大きさや形態をチェック

生活環境

  • ストレスを減らし、免疫バランスを保つ

  • 清潔な環境を維持し、感染症リスクを最小化

  • 規則正しい生活リズムで体力を維持


飼い主がよく抱く質問

腎臓病は免疫疾患が原因になることがありますか?

はい。糸球体腎炎やループス腎炎など、免疫異常が腎臓病の直接的な原因になることがあります。

免疫抑制剤は腎臓に負担をかけませんか?

一部の薬は腎臓に副作用を及ぼす可能性があるため、定期的な血液・尿検査で確認しながら使用します。

感染症にかかりやすくなりますか?

はい。免疫抑制治療や腎臓病そのものにより免疫力が下がるため、感染症予防が重要です。


まとめ

犬の腎臓病と免疫疾患は互いに関係し合い、合併すると症状が複雑化し治療が難しくなります。

  • 免疫疾患は腎臓を直接攻撃し、糸球体腎炎やループス腎炎を引き起こす

  • 腎臓病は免疫力を低下させ、感染症や全身疾患を悪化させる

  • 管理は免疫抑制剤・腎臓病治療薬・食事・水分補給・定期検査を組み合わせることが基本

  • 飼い主の観察と早期対応が愛犬の命を守るカギ

腎臓と免疫の両方を意識したケアを行うことで、愛犬の健康寿命を延ばすことができます。