当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病と呼吸器疾患の関係

犬の腎臓病は血液をろ過し老廃物を排出するだけでなく、体全体の健康に関わる病気です。特に見逃せないのが「呼吸器疾患」との関係です。腎臓病が進行すると肺や呼吸に影響が出ることがあり、逆に呼吸器疾患が腎臓病を悪化させるケースもあります。ここでは犬の腎臓病と呼吸器疾患の関係、代表的な合併症、そして飼い主ができるケアについて詳しく解説します。


腎臓病が呼吸器に与える影響

  • 肺水腫:腎不全で水分排泄ができず、肺に水がたまり呼吸困難を起こす

  • 代謝性アシドーシス:腎臓が酸性物質を排泄できず、呼吸数の増加(過呼吸)で代償しようとする

  • 貧血:酸素運搬能力が低下し、呼吸が速く浅くなる

  • 高血圧:血管への負担が増え、肺の循環障害を悪化させる


呼吸器疾患が腎臓に与える影響

  • 慢性気管支炎や気管虚脱 → 酸素不足が腎臓への血流を減らし腎不全を進行させる

  • 肺炎や感染症 → 強い炎症や発熱により脱水が進み腎臓病を悪化させる

  • 心臓病に伴う肺うっ血 → 腎臓と心臓・肺の三者が連鎖的に悪化する「心腎肺症候群」に発展することもある


腎臓病と呼吸器疾患の代表的な合併症

  • 肺水腫

  • 慢性気管支炎+腎不全

  • 心不全による肺うっ血と腎臓病

  • 代謝性アシドーシスによる呼吸異常


合併症の症状

  • 咳、ゼーゼーとした呼吸音

  • 呼吸が速く、浅い

  • 舌や歯茎が紫色になる(チアノーゼ)

  • 運動を嫌がり、すぐに息切れする

  • 安静時でも呼吸困難を示す


管理とケアの方法

食事管理

  • 腎臓病用療法食を基本に、低リン・低ナトリウムで腎臓と循環器を守る

  • 呼吸器疾患に配慮し、消化が良く少量で栄養が取れるフードを選ぶ

  • 肥満は呼吸器疾患を悪化させるため体重管理も重要

薬物療法

  • 腎臓病:降圧薬、利尿薬、リン吸着剤、制吐剤

  • 呼吸器疾患:気管支拡張薬、去痰薬、抗生物質(感染症時)、酸素療法

  • 利尿薬は肺水腫に有効だが腎臓に負担をかけるため、バランスを考慮する必要がある

水分補給

  • 適切な水分補給で脱水を防ぐ

  • ただし肺水腫がある場合は過剰な水分摂取を避けるよう獣医師の指示に従う

定期的な検査

  • 腎機能:BUN、クレアチニン、SDMA

  • 呼吸器:胸部レントゲン、超音波検査、血液ガス検査

  • 血圧測定:心臓・肺・腎臓の負担をチェック

生活環境

  • 室内の空気を清潔に保ち、タバコや香水など刺激臭を避ける

  • 適度な温度と湿度を維持する

  • 安静を確保し、呼吸が楽にできる体勢を取らせる


飼い主がよく抱く質問

腎臓病による肺水腫は治りますか?

利尿薬や酸素療法で一時的に改善できますが、根本的な治療は難しく、腎臓病の進行管理が不可欠です。

呼吸器疾患と腎臓病、どちらを優先して治療すべきですか?

命に直結する呼吸困難がある場合は呼吸器の治療を優先します。ただし、腎臓病の管理を怠ると再発リスクが高まるため、両方を並行してケアする必要があります。

在宅でできるケアはありますか?

酸素ハウスを導入する、空気清浄機で室内環境を整える、体調に合わせた運動制限をするなどが効果的です。


まとめ

犬の腎臓病と呼吸器疾患は互いに悪影響を及ぼし合い、併発すると症状が複雑化します。

  • 腎臓病は肺水腫や代謝性アシドーシスを通じて呼吸に影響

  • 呼吸器疾患は低酸素や感染症により腎臓病を悪化させる

  • 治療は食事・薬物・水分管理・定期検査を組み合わせ、バランスを取ることが重要

  • 飼い主の観察と早期対応が愛犬の命を守るカギ

腎臓と呼吸器を同時にケアすることで、愛犬の健康寿命を延ばすことができます。