当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病と心臓病の関係

犬の腎臓病は腎機能の低下だけでなく、全身にさまざまな影響を及ぼします。その中でも特に注意が必要なのが「心臓病」との関係です。腎臓と心臓は密接に連動して働いており、どちらかが障害を受けるともう一方に負担をかける「心腎症候群(cardiorenal syndrome)」と呼ばれる状態に陥ることがあります。腎臓病と心臓病の関係を理解し、適切なケアを行うことが愛犬の健康寿命を延ばすカギとなります。


腎臓と心臓の関係

  • 腎臓は血液をろ過し、体内の水分・電解質バランスを維持する

  • 心臓は血液を全身に送り出し、腎臓へ十分な血流を届ける

  • 腎臓病により水分やナトリウムが排出されにくくなると「高血圧」や「循環器への負担」が増す

  • 心臓病で血流が滞ると腎臓のろ過機能が低下し、腎臓病が悪化

このように腎臓と心臓はお互いに影響し合う臓器であり、一方の病気がもう一方を悪化させる悪循環が起こります。


腎臓病が心臓に与える影響

  • 高血圧による心臓の負担増加

  • 体内の水分過多により心不全リスクが上昇

  • 貧血が進行し、心臓に過剰な負荷がかかる


心臓病が腎臓に与える影響

  • 心不全により腎臓への血流が不足

  • 利尿薬の使用で脱水や電解質異常が起こり、腎臓がダメージを受ける

  • 長期的に腎不全を進行させる要因となる


犬に多い心腎症候群のパターン

  1. 慢性腎臓病 → 高血圧 → 心臓病を発症

  2. 心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など) → 腎臓病が悪化

  3. 両方が同時進行し、互いに悪影響を与え合う


腎臓病と心臓病の合併症

  • 心不全:息切れ、咳、呼吸困難

  • 高血圧:網膜剥離や失明のリスクも

  • 浮腫・腹水:水分排泄不全による症状

  • 進行性の腎不全:尿毒症に移行する危険


管理とケアのポイント

薬物療法

  • 腎臓病:ACE阻害薬、リン吸着剤、制吐剤など

  • 心臓病:強心薬、利尿薬、降圧薬

  • 両方に影響を与える薬は慎重に選択(例:利尿薬は心臓を助けるが腎臓に負担をかける場合あり)

食事管理

  • 腎臓病用療法食(低リン・低ナトリウム設計)が基本

  • 心臓病に配慮したナトリウム制限も有効

  • 栄養バランスを崩さないよう獣医師と相談

定期的な検査

  • 血液検査(BUN、クレアチニン、SDMA)で腎機能を確認

  • 心エコー・心電図で心臓の状態を把握

  • 血圧測定で高血圧を管理

生活環境

  • 適度な運動で体力維持

  • 安静に過ごせる環境づくり

  • ストレスの軽減


飼い主がよく抱く質問

腎臓病と心臓病、どちらを優先すべきですか?

犬の状態によります。心不全が命に関わる場合は心臓の治療を優先しますが、腎臓病の進行管理も同時に行うことが重要です。

利尿薬は腎臓に悪いですか?

利尿薬は心臓病の治療に有効ですが、腎臓に負担をかけることがあります。獣医師がバランスを考えて処方するため、自己判断で中止しないでください。

食事は腎臓病用と心臓病用、どちらを選べばいいですか?

基本は腎臓病用療法食が推奨されますが、心臓病の進行度によって調整が必要です。必ず獣医師に相談してください。


まとめ

犬の腎臓病と心臓病は密接に関係し合い、互いに悪影響を与える「心腎症候群」を引き起こします。

  • 腎臓病は高血圧や水分貯留を通じて心臓に負担をかける

  • 心臓病は腎臓への血流を低下させ、腎不全を進行させる

  • 治療は薬物・食事・生活管理を組み合わせ、両方に配慮する必要がある

  • 定期的な検査と飼い主の観察が、合併症の早期発見につながる

愛犬の腎臓と心臓を同時に守るケアを行うことが、健康寿命を延ばす大切なポイントです。