当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の種類

犬の腎臓病の種類と代表的な疾患

犬の腎臓病は一つの病気を指すのではなく、腎臓や尿路に関連する複数の疾患を含む総称です。腎臓は老廃物を排出し、体内の水分・電解質バランスを保つ重要な臓器ですが、その働きが低下すると全身の健康に深刻な影響を及ぼします。ここでは代表的な腎臓病とその特徴について詳しく解説します。


腎不全(尿毒症)

腎臓の機能が大きく低下し、老廃物や毒素が排出されず体内に蓄積した状態を指します。

急性腎不全

  • 短期間で急激に腎機能が低下

  • 原因:脱水、中毒(ブドウ・レーズン・ユリなど)、尿路閉塞、感染症

  • 治療次第で回復の可能性あり

慢性腎不全(CKD)

  • 数ヶ月〜数年かけて進行

  • 原因:加齢、遺伝、慢性炎症、感染症など

  • 完治は難しいが食事療法・点滴療法で進行を遅らせられる

尿毒症(末期)

  • 尿が出なくなる、けいれん、意識障害など重度症状

  • 緊急治療が必要で予後は厳しい


腎炎・フィラリア症に伴う腎障害

心臓や血管に寄生するフィラリア(犬糸状虫)が腎臓に影響を与え、腎炎を引き起こすことがあります。

  • フィラリア感染により免疫複合体が腎臓に沈着し、腎炎を発症

  • タンパク尿や血尿がみられる

  • 予防薬でフィラリア感染を防ぐことが最も重要


糸球体腎炎

腎臓の糸球体に炎症が起きる病気で、免疫異常や感染症により発症します。

  • 主な症状:タンパク尿、浮腫、体重減少

  • 血液中のタンパクが尿に漏れ出すことで低タンパク血症を起こす

  • 長期的には慢性腎不全に移行するリスクが高い


腎盂腎炎(じんうじんえん)

腎盂や腎臓に細菌が侵入し炎症を起こす病気です。

  • 原因:膀胱炎や尿路感染症からの逆行性感染

  • 症状:発熱、元気消失、嘔吐、頻尿や血尿

  • 抗生物質による治療が中心だが、慢性化すると腎機能低下につながる


尿路結石症(腎結石)

尿路に結石が形成され、腎臓に影響を与える病気です。

  • 原因:食事のバランス、尿pHの異常、水分不足、体質

  • 症状:血尿、頻尿、排尿困難、背中や腰の痛み

  • 結石が尿管を塞ぐと急性腎不全の原因になる

  • 治療:食事療法、結石溶解療法、外科手術


ネフローゼ症候群

腎臓のろ過機能障害により、尿中に大量のタンパクが漏れ出す状態を指します。

  • 主な症状:全身の浮腫、腹水、胸水、体重増加

  • 原因:糸球体腎炎やアミロイド症、感染症、腫瘍など

  • 血中タンパク低下により免疫力も落ち、感染症リスクが高まる

  • 慢性腎不全へ進行する可能性が高い


ファンコニー症候群

尿細管での再吸収機能が障害される病気で、遺伝的要因が大きいとされます。

  • 特徴的症状:多飲多尿、糖尿(血糖値は正常でも尿に糖が出る)、体重減少

  • ベドリントン・テリアやバセンジーなど特定犬種で発症リスクが高い

  • 電解質異常や脱水が進行しやすく、慢性腎不全へつながることがある

  • 食事管理や補液療法での長期管理が中心


飼い主がよく抱く質問

腎臓病の種類によって治療は変わりますか?

はい。急性腎不全では集中的な点滴や原因除去が必要ですが、慢性腎不全では食事管理と長期的ケアが中心となります。感染症や結石が原因の場合は、それぞれに応じた治療を行います。

どの腎臓病も完治できますか?

急性腎炎や腎盂腎炎は回復可能ですが、慢性腎不全やファンコニー症候群は完治が難しく、進行を抑える管理が重要です。

検査でどの病気か区別できますか?

血液検査・尿検査・超音波検査・画像診断を組み合わせることで、多くの腎臓病を鑑別できます。


まとめ

犬の腎臓病には多くの種類があり、それぞれ原因や治療法が異なります。

  • 腎不全(尿毒症):腎臓の機能が著しく低下した状態

  • 腎炎・フィラリア症:寄生虫や感染症による腎障害

  • 糸球体腎炎:免疫異常によるタンパク尿が特徴

  • 腎盂腎炎:細菌感染が原因で発熱や嘔吐を伴う

  • 尿路結石症(腎結石):尿路閉塞から腎不全を起こすこともある

  • ネフローゼ症候群:尿中に大量のタンパクが漏れ、浮腫が現れる

  • ファンコニー症候群:遺伝的要因による尿細管障害

腎臓病の種類を正しく理解することで、愛犬に最適な治療や予防を選択することができます。