当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の治療法

犬の腎臓病の治療法

犬の腎臓病は進行性で完治が難しい病気ですが、適切な治療と管理により進行を遅らせ、生活の質を維持することが可能です。腎臓病の治療は「急性腎臓病」と「慢性腎臓病」でアプローチが異なりますが、共通して重要なのは飼い主が正しく病気を理解し、日常生活の中でサポートを行うことです。ここでは犬の腎臓病に対する主な治療法と、自宅でできるケアについて詳しく解説します。


犬の腎臓病治療の基本方針

腎臓病の治療は「根治」ではなく「進行を抑え、症状を軽減すること」が目的です。

  • 急性腎臓病の場合:原因を特定し、点滴治療や薬剤で腎機能を回復させる

  • 慢性腎臓病の場合:進行を遅らせ、生活の質を維持するための長期的な管理が中心

治療には食事療法、薬物療法、点滴療法などが組み合わされます。


食事療法(療法食による管理)

腎臓病の治療で最も重視されるのが食事療法です。

腎臓病用フードの特徴

  • 低リン:リンは腎臓に大きな負担をかけるため、制限が必要

  • 適切なたんぱく質:量を抑えつつ高品質な動物性たんぱく質を使用

  • 低ナトリウム:高血圧や腎臓への負担を防ぐ

  • オメガ3脂肪酸配合:炎症を抑え腎臓保護に役立つ

代表的な療法食には「ヒルズ k/d」「ロイヤルカナン 腎臓サポート」などがあります。

食事切り替えの注意点

急にフードを変えると食欲低下や下痢を招くことがあるため、1〜2週間かけて少しずつ新しいフードに慣らすことが大切です。


点滴療法(輸液療法)

腎臓病では体内の水分・電解質バランスが崩れるため、点滴によってサポートします。

静脈点滴

急性腎臓病や重度の慢性腎臓病で用いられ、動物病院で集中的に行います。

皮下点滴

慢性腎臓病の犬では、自宅で飼い主が行う皮下点滴が一般的です。定期的に水分を補給することで脱水を防ぎ、老廃物の排出を助けます。


薬物療法

腎臓病に関連する症状や合併症を抑えるために薬が使用されます。

  • 降圧薬(ACE阻害薬など):高血圧のコントロール

  • リン吸着剤:食事中のリン吸収を抑える

  • 制吐剤:嘔吐や吐き気を軽減

  • 胃薬・胃粘膜保護剤:消化器症状を改善

  • 貧血治療薬(エリスロポエチン製剤など):腎性貧血の改善

これらは症状に応じて獣医師が処方します。


サプリメント療法

補助的に用いられることがあります。

  • オメガ3脂肪酸(EPA・DHA):腎臓の炎症を抑える

  • ビタミンB群:尿中に排泄されやすいため補給が必要

  • プロバイオティクス:腸内環境を整え、老廃物の産生を減らす

ただしサプリメントはあくまで補助であり、獣医師の指導のもと使用することが大切です。


自宅でできる腎臓病ケア

水分補給を徹底

常に新鮮な水を用意し、ウェットフードを活用することで水分摂取を増やします。

定期的な体重測定と観察

体重減少は腎臓病悪化のサインです。毎週の体重測定や食欲・尿量のチェックを習慣化しましょう。

口腔ケア

歯周病菌は腎臓にも悪影響を与えます。歯磨きやデンタルケアを行うことは予防にもつながります。


飼い主がよく抱く質問

腎臓病は治るのか?

残念ながら慢性腎臓病は完治しません。しかし、治療により数年にわたって元気に過ごすことは可能です。

食事療法だけで治療できますか?

食事療法は基本ですが、進行度や症状によって点滴や薬物治療を併用する必要があります。

自宅で点滴を行うのは安全ですか?

獣医師の指導を受ければ自宅でも可能です。初めは動物病院でやり方を学び、少しずつ慣れることが推奨されます。


まとめ

犬の腎臓病治療は進行を止めることはできませんが、適切なケアにより進行を遅らせることが可能です。

  • 療法食による食事管理

  • 点滴療法での水分・電解質補給

  • 薬物療法での症状・合併症のコントロール

  • サプリメントによる補助療法

  • 自宅での体重・尿量・水分管理

これらを継続することで、愛犬の生活の質を守り、長く健やかに過ごせる時間を増やすことができます。腎臓病と向き合う飼い主の努力が、愛犬の未来を支えるのです。