犬の尿路結石症(腎結石)は、腎臓や尿管、膀胱、尿道など泌尿器系に結石が形成される病気です。特に腎臓にできる「腎結石」は進行すると腎機能を障害し、慢性腎不全や尿毒症に発展する危険があります。犬の尿路結石症は再発率が高いため、治療だけでなく長期的な管理と予防がとても重要です。ここでは犬の尿路結石症(腎結石)の原因、症状、検査、治療法、予防とケアについて詳しく解説します。
Contents
尿路結石症(腎結石)の原因
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食事の影響:ミネラル過剰(マグネシウム、リン、カルシウムなど)、塩分過多
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水分不足:尿が濃縮され結晶や結石ができやすくなる
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尿のpH異常:アルカリ性や酸性に偏ると結晶形成が促進
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遺伝的要因:ダルメシアン、シーズー、ミニチュアシュナウザーなど好発犬種
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感染症:細菌感染が結石形成の引き金になることがある
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基礎疾患:腎臓病や代謝異常が背景にある場合も
症状
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頻尿や排尿困難
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尿に血が混じる(血尿)
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尿が出にくい、尿が途切れる
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排尿時の痛み、鳴き声を上げる
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嘔吐や食欲不振
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元気消失
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急性の場合は尿路閉塞を起こし、命に関わる急性腎不全に発展することもある
検査法
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尿検査
尿比重、尿pH、結晶の有無を確認 -
血液検査
BUN、クレアチニン、SDMAで腎機能を評価 -
画像検査
X線や超音波で結石の有無、大きさ、位置を確認 -
尿培養検査
感染症が関与しているかを確認
治療法
食事療法
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専用の結石溶解食や予防食を使用
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ミネラルバランスを調整し、結石形成を防ぐ
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水分摂取量を増やし、尿を希釈する
薬物療法
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感染性結石の場合は抗菌薬を使用
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利尿薬で尿の流れを促進することもある
外科的治療
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尿路閉塞や大型結石では手術(腎切石術、膀胱切開など)が必要
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内視鏡やカテーテルで結石を取り除く方法もある
支持療法
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点滴で水分・電解質バランスを補正
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制吐剤や鎮痛剤で症状を緩和
予後と再発リスク
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適切な治療で改善するが、再発率が高い
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食事・水分管理を怠ると結石が再形成されやすい
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慢性化すると腎不全や尿毒症に進行する恐れがある
飼い主ができる予防とケア
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尿路結石用の療法食を続ける
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常に新鮮な水を用意し、水分摂取を促す
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定期的に尿検査・血液検査で再発をチェック
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適度な運動で代謝を促進
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尿の色や排尿回数に日常的に注意する
飼い主がよく抱く質問
尿路結石は自然に治りますか?
小さな結石や結晶は食事療法で溶解することがありますが、大きな結石や閉塞は手術が必要です。
腎結石は危険ですか?
はい。腎機能を障害し、急性腎不全や尿毒症に進行する恐れがあり、命に関わります。
療法食は一生続ける必要がありますか?
再発防止のため、多くの場合は長期的な食事管理が推奨されます。
まとめ
犬の尿路結石症(腎結石)は、尿路に石ができることで排尿障害や腎障害を引き起こす病気です。
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主な原因は食事、水分不足、感染症、遺伝など
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症状は血尿、排尿困難、食欲不振、急性腎不全など
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治療は食事療法、薬物療法、外科的治療を組み合わせる
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再発防止には水分管理と食事療法が不可欠
飼い主が排尿の異常を見逃さず、予防とケアを徹底することで、愛犬の健康寿命を守ることができます。