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犬の腎臓病の種類

犬の尿毒症(末期)

犬の尿毒症(末期)

犬の尿毒症は、腎不全が進行し腎臓がほとんど機能しなくなったときに起こる非常に重篤な状態です。血液中に老廃物や毒素が蓄積し、全身に影響を及ぼすため「末期の腎臓病」とも言われます。尿毒症は治療が難しく、命に関わる緊急事態ですが、苦痛を軽減し生活の質(QOL)を守るためのケアが大切です。ここでは犬の尿毒症(末期)の原因、症状、検査、治療、そして飼い主ができる緩和ケアについて詳しく解説します。


尿毒症の原因

  • 慢性腎臓病の進行:加齢や持病により腎機能が徐々に低下し、末期に至る

  • 急性腎不全の悪化:中毒や感染症などで腎臓が急激にダメージを受ける

  • 尿路閉塞:結石や腫瘍によって尿が排泄できず、毒素が体内に蓄積する

  • 重度の感染症:腎盂腎炎や全身感染によって腎臓が破壊される


尿毒症(末期)の症状

  • 激しい食欲不振、体重減少

  • 嘔吐、下痢の頻発

  • 強い口臭(アンモニア臭)、口内炎

  • 元気消失、歩行困難、寝たきりになる

  • 脱水や低体温

  • 貧血による歯茎の蒼白

  • けいれんや意識障害(尿毒症性脳症)

  • 呼吸異常(過呼吸、浅い呼吸)

  • 無尿または極端な乏尿

これらは命に直結する末期の症状であり、緊急治療または緩和ケアが必要です。


検査法

  • 血液検査
    BUN・クレアチニン・SDMAの著しい上昇
    電解質異常(高カリウム血症)は心停止のリスク

  • 尿検査
    尿比重の低下、尿の排出量の減少

  • 画像検査
    腎臓の萎縮や尿路閉塞の有無を確認

  • 血圧測定
    高血圧や循環不全を把握


治療法

集中的治療

  • 点滴による水分・電解質補正

  • 利尿薬で尿量を確保(ただし効果が限定的な場合が多い)

  • 制吐剤や胃薬で消化器症状を軽減

  • 血液透析・腹膜透析(高度医療施設のみ対応可能)

緩和ケア(QOL重視のケア)

  • 皮下輸液で脱水を予防

  • 鎮痛剤や抗不安薬で苦痛を和らげる

  • 食欲増進剤で少しでも栄養を確保

  • 安静で快適な生活環境を整える


予後について

  • 尿毒症は末期の腎臓病であり、回復は非常に困難

  • 数日から数週間で命に関わることが多い

  • ただし、適切な緩和ケアで苦痛を軽減し、最期まで安らかに過ごさせることが可能


飼い主ができるケア

  • 獣医師と相談し、治療か緩和ケアか方針を決める

  • 自宅での皮下輸液や投薬管理を習得する

  • 食欲が落ちた犬には嗜好性の高い食事やウェットフードを与える

  • 排尿や呼吸状態を毎日観察する

  • 安静で温かい環境を整える

  • 最期の時間を安心して過ごせるよう、スキンシップを大切にする


飼い主がよく抱く質問

尿毒症は治りますか?

残念ながら完治はほぼ不可能です。治療の中心は延命と緩和ケアになります。

透析をすれば助かりますか?

一時的に症状改善が見込めますが、根本的な回復は難しく、継続的な治療が必要です。

在宅での緩和ケアはできますか?

可能です。皮下輸液や薬の投与、食欲管理などを獣医師の指導を受けて行うことが大切です。


まとめ

犬の尿毒症(末期)は腎臓病の最終段階であり、生命の維持が難しい深刻な状態です。

  • 主な原因は慢性腎臓病の進行、急性腎不全の悪化、尿路閉塞、感染症

  • 嘔吐、無尿、口臭、けいれんなどの症状が見られる

  • 治療は点滴や透析、緩和ケアが中心

  • 飼い主は苦痛を和らげ、最期まで安らかな生活をサポートすることが大切

愛犬が尿毒症に至っても、飼い主の温かいケアによって安心した時間を過ごすことができます。