当サイトは犬の「腎臓病」主に「腎不全」にテーマを絞り、腎臓病・腎不全の治療や対策について考えていくサイトです。腎臓病対策には何があるのか、果たして治療はどこまで有効なのか。真剣に考えて行きたいと思っています。
犬の腎臓病の合併症とケア

犬の腎臓病と消化器疾患の関係

犬の腎臓病は単独で症状を進行させるだけでなく、消化器疾患と深い関わりを持っています。腎臓は老廃物の排泄を担い、消化器は栄養吸収を担っていますが、どちらも体全体の代謝や健康維持に欠かせない臓器です。そのため、腎臓病と消化器疾患が併発すると症状が重なり、管理や治療がより複雑になります。ここでは犬の腎臓病と消化器疾患の関係、合併症、ケアの方法について詳しく解説します。


腎臓病が消化器に与える影響

  • 尿毒素の蓄積により胃腸が刺激され、嘔吐や下痢、食欲不振が起こる

  • 胃酸分泌の増加により胃炎や胃潰瘍を引き起こす

  • 貧血や栄養不足により腸の働きが低下し、便秘や消化不良が起こる

  • 慢性腎臓病では口内炎や口臭が現れることもある


消化器疾患が腎臓に与える影響

  • 慢性的な下痢や嘔吐 → 脱水が進行し腎不全を悪化させる

  • 膵炎や腸炎 → 強い炎症反応が腎臓の血流を障害し、急性腎不全の原因となる

  • 胃腸からの慢性出血 → 貧血を招き、腎臓に負担がかかる

  • 栄養吸収不良 → 腎臓の修復や機能維持が難しくなる


腎臓病と消化器疾患の代表的な合併症

  • 慢性腎不全と慢性胃炎

  • 腎臓病に伴う胃潰瘍・消化管出血

  • 膵炎と腎不全の同時発症

  • 慢性腸炎による栄養不良と腎臓病の進行


合併症の症状

  • 頻繁な嘔吐や下痢

  • 食欲不振、体重減少

  • 黒色便(消化管出血の可能性)

  • 口臭やよだれの増加

  • 脱水による皮膚の弾力低下、ぐったり感


管理とケアの方法

食事管理

  • 腎臓病用療法食を基本にしつつ、消化器に優しい設計のものを選ぶ

  • 高消化性のたんぱく質・低リン・低ナトリウムを意識

  • ウェットフードや流動食で消化吸収を助ける

  • 少量を複数回に分けて与えることで胃腸への負担を軽減

薬物療法

  • 腎臓病:降圧薬、リン吸着剤、制吐剤など

  • 消化器疾患:制吐剤、胃酸抑制薬、胃粘膜保護薬、整腸剤

  • 必要に応じて抗生物質や消化酵素補助も使用

水分補給

  • 下痢や嘔吐で失われる水分を補うため、常に新鮮な水を用意

  • 脱水が強い場合は皮下輸液で補助

定期的な検査

  • 腎機能:BUN、クレアチニン、SDMA

  • 消化器:血液検査(貧血や炎症反応)、便検査、腹部エコー

  • 進行度を見極め、治療方針を調整


飼い主がよく抱く質問

腎臓病による嘔吐は消化器疾患ですか?

いいえ。尿毒素の影響で嘔吐が出ることもありますが、胃炎や膵炎など消化器疾患を併発している場合もあるため、検査での鑑別が必要です。

食欲がなくて療法食を食べません。どうすればいいですか?

ウェットタイプや流動食を取り入れる、温めて香りを強めるなどの工夫が有効です。獣医師に相談し、食欲増進剤を使うこともあります。

嘔吐や下痢が続くときはどうすればいいですか?

脱水や急性腎不全のリスクがあるため、すぐに動物病院を受診してください。


まとめ

犬の腎臓病と消化器疾患は互いに深く関係し、併発すると症状が重なり治療が難しくなります。

  • 腎臓病は嘔吐・下痢・胃潰瘍など消化器症状を引き起こす

  • 消化器疾患は脱水や炎症で腎不全を悪化させる

  • 管理は食事療法・薬物療法・水分補給・定期検査を組み合わせることが基本

  • 飼い主の観察と早期対応が愛犬の健康寿命を守るカギ

日常のちょっとした変化を見逃さず、腎臓と消化器の両方に配慮したケアを行うことが大切です。